芸能

旅番組で全くボケない又吉直樹は芸人を放棄してしまったのか

又吉直樹は芸人ではないのか(イラスト/ヨシムラヒロム)

芸人が街歩きや旅をテーマとした番組に出演する場合、そこに期待されるのはやはり「面白い」ことだろう。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、Amazonプライム・ビデオで公開されている又吉直樹による旅番組は、はたして芸人としてなのか、芥川賞作家としてなのかを考えた。

 * * *
 最近「Amazonプライム・ビデオ」で見た『これが無いなら来なかった~又吉直樹の宮古島~』『これが無いなら来なかった~又吉直樹の福島県~』。番組内容は、又吉先生が市井の人と触れ合う旅番組。又吉がプライベートで訪れた旅先で起きた出来事のようにコトが運ぶ。

 特筆すべき点もない番組だが、又吉が出ているだけあり、文学的な要素は強い。というか過剰に出す。番組の説明にも「又吉ならではの感性で綴る。まるで小説を「観る」ように日本を味わう番組」と書かれている。

「(美しい宮古島の海を見て)帰りたくないですね~、帰らなかったら、怒られるんですかね。大人やなのに、帰りたくないなぁ。とりあえず、座ろ」

 このような感じで、時折入る又吉自身のナレーションが「綴られる“小説”」的な部分を指しているのだろう。しかし、どれも大したこと言ってないんだ、コレが! 又吉の格別優れた感性によって、書かれたナレーション原稿とは思えなかった。本人が書いていない可能性も高い……。

『これが無いなら来なかった』シリーズは、全体的にぼんやりとしている。「これ、どこかで見たことあるな……」と頭を捻れば、BSのCMで流れる通販に近い作風だと気がつく。農家でバリバリと活躍するオヤジのドキュメンタリーかと思いきや、いつの間にか健康食品の通販に変わっているアレだ。余談だが、最初にドキュメンタリー風通販番組を作った人は天才だと思う。

 言ってしまえば、ドキュメンタリー番組として面白さがない。あるのは「又吉から発せられる言葉はありがたいものである」といったメッセージ。言葉は使い手に依存する。又吉が発する全ての言葉が金言だと信じる読者に向けた番組。しかし、読者でない僕には響かない。

 また、目についたのが又吉から何一つとしてボケが出なかったことだ。小説家でありつつも本分は芸人だと語る又吉、ならば笑いの1つ2つ提供して欲しいもの。番組のカラー的に難しいのかも知れないが、芸人の番組で笑いを提供しないことは異常事態。芸人という職業を放棄しているように映る。彼の中にあった”人を笑わせたい”といった欲望は消え失せたのか。それこそ素人目に見ても、ボケ・ツッコミのポイントは多々あったのに。

 こんなシーンがあった。会津の田畑を歩く又吉、そこで出会ったのが雑穀米を作る農家の方。当然、試食の展開となる。雑穀米を食べながら、家庭料理の話へ移り、テーマは結婚へ。

「結婚相手いないんですよぉ~」とため息つく又吉に「会津の女性はいいですよ、どうでか?」と紹介する農家の人。手で示した先にいたのは60歳近いおばさま数名、普通の芸人ならば野生のチーターのようなスピードでツッコミを入れるだろう。

 例えば「全員いっちゃっていいんですか!?」とか。又吉ならば「芥川賞作家の妻になりますが、大丈夫ですね?」こんなフレーズも吐けるだろう。しかし、又吉は「い、いんですか?」と戸惑っておしまい。

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