国内

奨学金破産増加 奨学金借りてまで新設大学に行く意味あるか…

奨学金を借りてまで大学に行く必要性を疑問視する見方も

 奨学金に絡む自己破産者は、2016年までの5年間で1万5338人。内訳は本人が8108人、保証人が計7230人。2016年度は過去最高の3451人が破産した。

「年収300万円以下など低所得者を対象にした奨学金の返済猶予制度の猶予期限は10年。期限切れによる自己破産者は今後さらに増える見込みです」(全国紙記者)

 大学の増加も奨学金破産を生む原因の1つだ。政府の規制緩和で大学の新設が容易になり、過去20年間で新設された私立大学は247校を数える。ある大手予備校講師が声を潜める。

「全国の子供たちに進学の機会が増えることはいいことです。ただ、新設の大学は偏差値が低いところが多く、入試を受ければ誰でも入れるような学校ばかり。有名大学に入っても就職難という昨今、奨学金を借りてまでそうした大学に通うことに、どれだけの意味があるのか…。

 もちろん偏差値が全てではないですが、現実問題として、そうした大学を出た後、思うような仕事に就けず、奨学金の返済に困窮している学生を何人も見てきました。『とりあえず大学に行っとけ』というノリは、もう通用しない時代に来ているのだと思います」

 日本学生支援機構が公開した大学別の奨学金延滞率を見ると、確かに新興の大学が散見される。『ブラック奨学金』(文春新書)の著者でNPO法人『POSSE』代表の今野晴貴氏によれば、高校の先生にも責任の一端があるという。

「教師が奨学金のリスクを理解していないんです。教師にヒアリングすると、『有名大学に入れば将来安泰だから、すぐに返済できる』と言って、安易に奨学金を勧めている人もいる。車より高い借金を18才に背負わせるのに、住宅ローンのような専門的な説明がなされていない。

 奨学金は福祉ではなく『金融商品』です。例えば連帯保証人を親、保証人を親戚とした場合、本人が自己破産等で返済能力がなくなると、親に取り立てが行く。親も払えないと親戚。将来、親族間の借金の連鎖が起きかねないリスクを抱えていることを、教育現場の人間は知るべきです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

緊急入院していた木村文乃(時事通信フォト)
《女優・木村文乃(37)が緊急入院していた》フジ初主演ドラマ撮影中にイベント急きょ欠席 所属事務所は「入院は事実です」
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
《豊田市19歳女性刺殺》「家族に紹介するほど自慢の彼女だったのに…」安藤陸人容疑者の祖母が30分間悲しみの激白「バイト先のスーパーで千愛礼さんと一緒だった」
NEWSポストセブン
女子児童の下着を撮影した動画をSNSで共有したとして逮捕された小瀬村史也容疑者
「『アニメなんか観てたら犯罪者になるぞ』と笑って酷い揶揄を…」“教師盗撮グループ”の小瀬村史也容疑者の“意外な素顔”「“ザ”がつく陽キャラでサッカー少年」【エリート男子校同級生証言】
NEWSポストセブン
2023年7月から『スシロー』のCMに出演していた笑福亭鶴瓶
《スシローCMから消えた笑福亭鶴瓶》「広告契約は6月末で満了」中居正広氏の「BBQパーティー」余波で受けた“屈辱の広告写真削除”から5カ月、激怒の契約更新拒否
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長》東洋大卒記者が卒業証明書を取ってみると…「ものの30分で受け取れた」「代理人でも申請可能」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
《フジテレビに蔓延するオンカジ問題》「死ぬ、というかもう死んでる」1億円以上をベットした敏腕プロデューサー逮捕で関係する局員らが戦々恐々 「SNS全削除」の社員も
NEWSポストセブン
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
《新歓では「ほうれん草ゲーム」にノリノリ》悠仁さま“サークル掛け持ち”のキャンパスライフ サークル側は「悠仁さま抜きのLINEグループ」などで配慮
週刊ポスト
70歳の誕生日を迎えた明石家さんま
《一時は「声が出てない」「聞き取れない」》明石家さんま、70歳の誕生日に3時間特番が放送 “限界説”はどこへ?今なお求められる背景
NEWSポストセブン
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン