「これまで正社員からセクハラやパワハラを受けていましたが、契約打ち切りを恐れて泣き寝入りするしかありませんでした。彼らはパートが弱い立場とわかっているからターゲットにする。今後はセクハラやパワハラにも毅然として対抗できるはずです」
利点は多いだけに期待も大きく、厚労省の調査では有期雇用労働者の約38%が無期雇用への転換を希望しているという。これを新ルールの対象者約450万人に当てはめると、約170万人が無期転換を申し出る可能性がある。これだけ多くの人々を救う制度改正なのだ。
ただし不安な要素もある。新ルールは働く側にメリットが多いが、雇う側には人件費が重くのしかかる。特に資金力の乏しい中小企業にとっては死活問題となる。前述の通り、新ルールでは5年以上働いた労働者が無期雇用を申し出たら企業は拒めないため、“無期転換逃れ”が横行しているという。
「契約更新を続けてきたのに、5年を超える直前に、契約を打ち切る雇い止めが相次いでいます。無期転換回避の雇い止めは違法です」(派遣ユニオン書記長・関根秀一郎氏)
2月1日には東北大学で秘書や事務員として働く非正規職員6人が、充分な説明もなく雇い止めされるのは違法だとして、雇用継続を求める労働審判を仙台地方裁判所に申し立てた。同大学は「改正以前から非正規職員の通算契約期間の上限を3年以内とする規定があり、制度を妨害する目的という主張にはあたらない」としているが、今後同様のトラブルは増えそうだ。
派遣ユニオンでは、1月末に「雇い止めホットライン」を開設したところ、わずか2日間で109件の相談が寄せられた。「おかしい」と感じたら、すぐ派遣ユニオンや法テラスなどに相談してほしい。さらに無期転換後の待遇にも注意が必要だという。
「無期転換後、同じ仕事なのに給料が下がったり、勤務時間が増えたりと、待遇が悪化する可能性もあります。この場合も即相談しましょう」(関根氏)
※女性セブン2018年3月15日号