「この制度が導入された2013年4月から数えて、同一企業で5年を超えて働いていることが要件。例えば1年契約の人は5回契約更新を行った翌日以降から申請できる。申し込みがあれば、会社側は拒むことができず、解雇されない限りは定年まで働き続けられる。ただし、5年間で契約していない期間が6か月以上ある場合は、5年のカウントがリセットされるので、注意が必要です」(倉重弁護士)

 冒頭のジョイフルの「全員無期雇用」は新ルールに先駆けたもので、ファンケル、クレディセゾンなどが無期雇用化を打ち出している。800万人いるとされる主婦パートに大きな夢を与える新ルール。最大のメリットは“雇用の安定”である。都内の製紙工場で一般事務パートとして8年間働くAさん(55才)の話。

「80才を超えた母が骨折して長期間の介護が必要になりました。制度上はパートでも介護休暇は取れるのですが、これまでは契約更新が不安で、そんなこと言い出せませんでした。でも、無期雇用になれば安心して介護休暇を取れそうです」

◆子供を産める、セクハラ告発できる、などへの変化も

 2013年から化粧品会社でパート勤務するBさん(32才)も笑顔を見せる。

「毎年、契約更新の1年契約で働いています。夫とは“そろそろ子供が欲しい”と話しているんですが、1年以内に雇用契約が終了する場合は制度上、育休を申請できません。子供を産むなら退職するしかないのですが、夫の稼ぎも少ないため、パートを辞めるわけにはいかないので、子供はしばらく諦めていました。でも無期雇用になれば、育休も取れて、出産後も働き続けられるので安心です」

 2人が語るように、無期雇用になれば、パート主婦でもリスクを恐れずに出産、介護などのライフプランを描けるようになる。ただし注意すべきは、無期雇用になっても「正社員待遇」になるのではなく、賃金や労働時間などは有期雇用時代と変わらないことだ。

「それでもメリットは大きいんです」と主張するのは、食品販売パートのCさん(46才)。

「2年ごとの契約更新だったので、いつ契約を打ち切られるか不安でした。無期雇用になれば、住宅ローンの返済など、長い目で家計を管理できる。収入安定がもたらす効果は計り知れません」

 またこんな声も。スーパーでレジスタッフとして働く28才主婦・Dさんの話。

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