この数年、メジャーではデータ重視の傾向がより強まり、極端な守備シフトや、頻繁な投手交代など戦略が大きく変化している。その流れに対応するため複数ポジションを守れるユーティリティプレーヤーが重用されてきた。特にこの3年は内外野を守れる強打者ベン・ゾブリストのいるカブスなどがワールドシリーズを制している。
大谷の目指す二刀流はまさに「究極のユーティリティ」というべき存在だ。マーリンズのドン・マティングリー監督が語る。
「何もエースである必要はない。先発4、5番手でもリリーフでもいい。1人の選手が投打に活躍すれば柔軟な選手起用が可能になり、チームに大きなメリットをもたらす。監督にとって二刀流ほどありがたい選手はいない」
エンゼルスが大谷のために打ち出した「6人ローテーション」も強烈なインパクトを与えている。
メジャーではこの40年、5人ローテが主流だった。しかし、最近では肘の再建手術(通称トミー・ジョン手術)が急増し、5人ローテから6人に移行すべきとの議論が高まっていた。大谷の出現によって、ついに6人ローテ時代が到来するかもしれない。
ネックはオフが1日増えることによる調整の難しさだが、エンゼルスの左のエース候補、アンドリュー・ヒーニーは気にしていない。
「オレはアジャストできる。チームには若く、経験の浅い先発投手が多いから中6日でも問題ない」