国内

部活廃止発表の河村名古屋市長「部活の民営化だがや」

部活廃止で案じられる「教育格差の拡大」

 名古屋市教育委員会が3月5日、市立小学校におけるすべての部活動を2021年3月をもって廃止すると発表し、激震が走っている。

 名古屋市教育委員会の野村直弘氏が語る。

「2017年から学校にタイムカード制度を導入したことにより、過労死ラインといわれる月80時間以上、勤務時間外に学校で仕事をしていると明らかになった。それにもかかわらず教員には超過勤務手当が支給されないことが法律で定められており、現状、時間外労働は無償で行われています」

 タイムカードによって教員の激務が可視化されたことから、業務内容の見直しが始まり、教員の負担を減らすため、部活動廃止となった。もし本当に日本中で部活が廃止となれば、さまざまな問題が懸念される。まず案じられるのは「教育格差の拡大」である。都内の公立小学校の教員が言う。

「今は同じクラスのなかに英語、水泳、プログラミングまで習い事のおかげで習得している子供と、親に放置されてひらがなすら書けないまま入学してくる子供が同席しています。この格差を授業で埋めるのが教員の仕事だと頭ではわかっていますが、実際に行うのはなかなか難しい」

 これまではそうした格差を部活が埋めていた面がある。部活問題に詳しい島沢優子氏が言う。

「日本の部活は公教育のなかで誰でも運動や文化活動を楽しめる制度として海外から高く評価されてきました。経済的に余裕のない家庭の子供でも、部活があるからテニスや吹奏楽などを経験できた。部活がなくなってしまえば、お金がないと活動する環境や道具が必要な音楽やスポーツは経験できなくなる。教育格差がさらに広がるはずです」

 実際に「部活でなければ陸上をやっていなかった」と語るのは、北京五輪陸上5000m・日本代表の小林祐梨子さん(29才)だ。

「もともとスポーツは苦手だったから、クラブチームに入って、お金を払ってまでスポーツをやりたいとは思わなかった。学校で気軽に入れる部活だったからこそ、チャレンジできたのです。何の気なしに入った部活が私を五輪にまで連れて行ってくれた」

関連記事

トピックス

ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン