アルプス席で応援する部員たち
「センバツも選ばれると思っていた。その甘い気持ちが今の自分の立場だと思います。最後の(ベンチ枠の)18番目に自分の名前が呼ばれなかった。夏には自分の名前を呼ばれるように、練習態度から改めたいと思いました」
中学時代にいくら日本代表歴があっても、高校野球で同等の光を放つことができるとは限らない。
能力の高い選手に平等にチャンスを与え、競争意識を煽り、個々の成長を促すなかでチームを編成していく育成システムこそ、開校31年目ながら高校野球の新時代をリードする大阪桐蔭に芽吹いた伝統であろう。
この夏、100回目の記念大会となる甲子園で春夏連覇に成功すれば、大阪桐蔭の最強世代どころか高校野球史における最強世代と呼ばれるかもしれない。
【プロフィール】柳川悠二(ノンフィクションライター)/1976年、宮崎県生まれ。法政大学在学中からスポーツ取材を開始。2000年シドニー五輪から2016年リオ五輪まで夏季五輪5大会を現地取材。2005年から高校野球の取材を始めて以降、春夏の甲子園取材をライフワークとする。近著に『永遠のPL学園 六〇年目のゲームセット』(第23回小学館ノンフィクション大賞受賞)。
※週刊ポスト2018年4月20日号