国内

「新しい痴漢」の悪辣な手口 女性スタッフの盗撮も横行

「新しい痴漢」の手口は巧妙だ

「触らない痴漢」が急増中だと4月初旬に報じられて以来、「新しい痴漢」の存在をよくぞ知らしめてくれたという賞賛があがる一方、痴漢冤罪が増えるのではないかと危惧する声が消えない。冤罪を危惧する人たちは、匂いをかぐなどの新しい痴漢が、予想以上に悪質なことを知らないだけではないのか。ライターの森鷹久氏が、匂いをかぐ、髪の毛に顔を埋めるなど偶然を装った新しい痴漢の形態についてレポートする。

 * * *
「触らない痴漢が存在する」

 例えば、満員電車で隣り合う女性の頭に顔を近づけ「匂いをかぐ」。これが痴漢に当たるのだとしてネット上で話題になっているが、女性からは「わかる」「経験がある」といった声が上がっているのに対し、男性側からは「息もできないのか」「電車に乗れない」などといった困惑の反論が続出している。

 決め手は「相手がどう感じるか」ということに尽きるというが、確かに「痴漢かどうか」の線引きは難しい。悪気はなくとも、セクシャルな言動によって相手に不快な思いをさせてしまう可能性は誰にでもある。ネット上では「防衛策は異性と接触しないようにするしかない」などとヒステリックな意見も飛び出すほどであるが、複数の女性に冷静に話を聞いていくと、痴漢やセクハラの悪い意味での進化は、どうやら間違いのない事実のようでもある。

「体を堂々と触ってくる痴漢は減った。でも電車の動きに乗じて下半身を押し付けてくる、髪の毛に顔をうずくめてくる、といった男性が増えた」

 こう話すのは、十代なかばから電車やバス内での痴漢被害にあい続けてきた女性(25)。”堂々と触ってくる”痴漢であれば、手を払いのけたり睨み返したり、声を上げて痴漢を指摘し、周囲の客らと協力して、駅員や警察に痴漢男を告発できた。しかし、前述のような偶然を装った痴漢行為については「私の勘違いかもしれない」「偶然かもしれない」といった思いが先行し、具体的な対応策が取れない場合がほとんどだという。

 この女性の場合は、あまりにもこんな”偶然”が頻発することから、男性らが意図的に行っていることを確信するようになった。また、別の女性も痴漢と同じく性的な目的をもった「新たな手口の存在」を訴える。

「お店にほぼ毎日のようにやってきては、商品について話を聞くふりをして、何時間も話しかけられる。付き合っている人はいるのか、一人暮らしなのか、出身や年齢は……と、個人情報を聞き出そうとしてくる。ひどい時は3時間近く相手をしなければならない。相手はお客様だから対応せざるを得なく、店長や本社に相談してもどうしようもない。警察を呼ぶわけにもいかないし……」

 こう話すのは、神奈川県の巨大ショッピングモール内にある女性向けアパレル商品店で働くMさん(28)。女性向け店舗に男性が来る、といった部分だけでもある種の”意図”を感じるが、店員は客を無視できない、という立場を悪用し、様々な方法で女性に接触を試みる。わざとモノを落として女性に拾わせて体に触れようとしてくることもあった。「セクハラ」も日常茶飯事であり、胸が大きい、足が細いなど、男は「女性をほめている」つもりなのかもしれないが、女性にしてみれば気持ち悪すぎる発言が繰り返される。

 近隣の女性向け下着店には「妻のもの、娘のもの」を買いに来た、と白々しいウソをついて、下着や女性客、女性店員を定期的に物色しに来る男性もいるのだという。セクハラ行為であるだけではなく、ほかの女性客が気味悪がって店を出て行くこともあり、もはや立派な営業妨害にもなっている。

関連記事

トピックス

グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン