米国は3月22日、日本や中国からの鉄鋼・アルミの輸入に制裁関税を発動したが、この制裁関税でも、米国から「アベが望むなら顔を立てて日本も関税を猶予してもいい」と打診があると報じられている。これも商売人のトランプ氏の巧妙なディールだ。元外務省情報局長の孫崎享氏が語る。

「首脳会談で鉄鋼制裁の解除はあるでしょう。その際、トランプはもっと大きな見返りを要求してくるはずです。米国としては兵器を買ってもらうのが一番儲かる。不思議なことに、日本では、米国から農産物を買うというと大きな批判が起きて議論になるが、軍備であればいくら高くても問題にならない」

 昨年11月の日米首脳会談で、トランプ氏は北朝鮮の危機を言い立てて日本に1基1000億円の陸上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基を売り込んだ。

 しかし、拉致交渉に口利きしてもらい、鉄鋼制裁も解除となれば、代償は2000億円では済まない。

「トランプ氏は日本にF-35やイージス艦をもっと買えと言っている。北朝鮮リスクが下がっても、次は中国の軍事的脅威を言い立てて買えと迫ってくるだろう。ミサイル防衛だけで日本はすでに米国に2兆円払っているが、戦闘機やイージス艦などの防衛装備なら1兆円くらいはすぐに積み上がる」(前出の外務官僚)

 締めて3兆円。北朝鮮情勢が安定しても、逆に防衛費は増えるという皮肉な結果だ。

 安倍首相は首脳会談後、落ち目の支持率回復をはかるために「外交成果」を強調するはずだが、払わされる国民からみれば、そのカネは日本の国益ではなく、安倍首相の面子と保身ためにトランプ大統領に貢ぐ“政権維持費用”そのものなのである。

※週刊ポスト2018年4月20日号

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