ライフ

新人漫画賞を審査する現役スター漫画家たちの白熱議論

10点満点で採点。表の割れ方が興味深い。審査員も本気である


柳本:僕もある程度年齢を加味して、伸びしろと、編集者がついてエンタメを叩きこんだら面白くなりそうかということで選びました。単純に面白さだけなら『くるくるくるりん』ですが、どこかこの人に三〇〇万円を渡すのか…と思ってしまうんですよね。『パレ―シア』はいかにも大賞っぽい作品だと思いましたが、面白いのかと言われると……。

 そう考えると『委員長、草をむしれ』は18歳で凄く上手いので、将来性がある若い子の才能を見出したいんですけれど、あまり若い子に大金をあげるのもよくないなって思うんですよね……。

一同:(笑)

浅野:大丈夫だと思いますよ。三〇〇万円くらいでおかしくなるなら、そういう人ってことなので。その人が売れてくれた時には、もっと入ってくるんだし。

菊池:柳本さんが『ひまわり』に0点をつけているのは何故です?

柳本:好き嫌いの話ですけど、これだけはすいません、分からなすぎるので…。しゃらくさい。絵が下手なくせにカッコつけている。5年後、古谷実さんみたいになっているかもしれないですけど……。僕も『稲中』は大好きですが、当時、1話目だけ見て面白くなるとは思わなかったので、そういう才能を見抜く目が無いのかもしれない。でもこれに三〇〇万円? さっきから俺だけ金、金、金と言っててすいません。

◆個々の作品をめぐり、議論は激化…!

司会:皆さんの採点を集計した結果、上位から『委員長、草をむしれ』『くるくるくるりん』『グロウ』『パレーシア』『ひまわり』『終わりの季節』となっています。

菊池:点数は相対的なものなので、必ずしも得点通りの順位でなくてもいいでしょう。『委員長、草をむしれ』『くるくるくるりん』と、総合的に柳本さん、奥さん以外が8点を入れた『ひまわり』。あとは押見さんが10点と最高評価の『グロウ』あたりが大賞候補になるんじゃないかと思います。

浅野:『くるくるくるりん』がズバ抜けていると思いますが、あえて次点をあげれば『ひまわり』ですね。

奥:僕はもうほとんどこの順番で。

押見:僕は『くるくるくるりん』がいまいちだったので、大賞には反対派です。『委員長、草をむしれ』はすごくセンスのある人だと思いますが、キャラがとても少女漫画っぽく感じるんですよね。『グロウ』の方は僕のBL脳が反応したんですけれど、少女漫画脳がないので『委員長、草をむしれ』には反応できなかった。皆さんの話を聞いて、たしかに「スペリオール」に載れば、ある意味、新鮮なキャラになるなと思ったので、賞を取ることに異論はないです。

浅野:僕も『委員長、草をむしれ』がピンとこなくて。キャラクターの感情が一直線で、漫画的な面白さはあるんですけれど、コミュニケーションが描けてないから人間が動いているように見えない。もしかするとそれが少女漫画的なのかもしれませんが、特別新鮮さを感じなかったので、大賞ではないと思っています。

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン