瑞々しい魅力を放つ本命『委員長、草をむしれ』
柳本:僕はよく少女漫画原作の映画観ているんですけど、ごく普通でちょっと気の弱いワタシが俺様系の男の子と出会って、「何こいつ」って言いながらちょっと本人が変わっていくという、すごくオーソドックスな少女漫画の話だと思いました。
浅野:18歳でこれを描いているということは凄いと思います。教えればすごくできるタイプの人かもしれないので、そういう意味で作家としてはいいかなと思うんですけれど……。
柳本:よくこれを少女漫画誌じゃなく「スペリオール」にもってきたな、というところで面白いというのはちょっとある。
奥:僕はさっきあげた二つ以外はそんなピンとこないですね。『パレーシア』は確かに「これが大賞だよ」と載っていれば、サブカル系の人に対して表向きの体裁が整う気はしますけれど、本気で選ぶなら将来性のある子がいいかなと思います。
花沢:僕は『委員長、草をむしれ』と『ひまわり』を推すんですけど、『委員長、草をむしれ』には「スピリッツ」の『恋は雨上がりのように』的な期待を感じるんですよね。雑誌的にも違和感があるし、これが載れば雑誌の色も明るくなって、もしかして女性読者も呼び込めるかもしれない。そういう可能性をちょっと感じています。
正直、大賞になった人はあまり伸びずに、入選くらいで落ち着いている人のほうが可能性があったりするので、この2つが大賞にならなくてもいいと思っています(笑)。
柳本:『パレーシア』は大賞っぽい作品ではあるんですけれど、この人は編集者から見て伸びるんですか? 僕はサブカル志向がないので、ちんたら長くていらないシーンだらけだと思うんだけれど、ひっかかるところはあるので。単純に16ページ、20ページにまとめたら普通に面白いんじゃないかなと。
◆「ヘタウマ」なのか? 「下手」なのか?
菊池:あえて、これだけは「大賞」は嫌だ!というのはありますか?
柳本:『ひまわり』ですね…。山本直樹先生の昔の作品を、すごく絵を下手にしただけのような、90年代サブカル感が……。
菊池:一応、大賞は出さないといけないのですが、浅野さんの『くるくるくるりん』への熱がすごく高いのを感じているので、そういうので決めてもいいかなと思ったりもしています。
司会:菊池さんはどう評価しているんですか?
菊池:自分は『委員長、草をむしれ』が。『くるくるくるりん』もそんなに悪いと思っているわけではなく、どちらが大賞でも異論はないです。