柳本:僕はそれならまだ『くるくるくるりん』のほうがいいかと。ただ、これが大賞となった時に、なにか変な感じがしてしまうんですよね。
浅野:『くるくるくるりん』は、こういう少しエッジの立った作品の新人賞をやった時の、既定路線の漫画だという気もするんですよね。ある意味で一番ギャップがあるのが『委員長、草をむしれ』で、これが大賞で三〇〇万円だといわれたら、ちょっとびっくりしません?
柳本:そうなんですよね、すごいオーソドックスな王道が来たなっていう。絵は本当にすごいと思いますけれど、内容は本当に、少女漫画にはよくあるなというレベルで。
花沢:『くるくるくるりん』は2話目が見てみたいんだよね。こういうのを毎回、読み切り的な感じでやっていける力があるなら本当に素晴らしいですけど。
浅野:そうなんだよね、これだけだと評価しづらくて。同じようなギャグをもう一回やられたらもう面白くないから。これがまぐれだという可能性もある。
柳本:いろんな切り口を見せてくれるんだったら、という意味で2作目を見たい。同じのを描いてこられたら、ああそうなんだってなっちゃう。
押見:そんなに引出しの多そうな人には思えないんだよな……。
花沢:そこが怖いんだけれど、化けた時は大きいかもしれない。『委員長、草をむしれ』のほうは無難というか、ちょうどいいところに落ち着いたかなっていう感じになっちゃう。
柳本:僕は『委員長、草をむしれ』は、少女漫画によくある作品だなという評価からどうしても出ないので…。
浅野:仮にこの人が「スペリオール」で連載するとなった時に、本人はどういう心持ちでやっていくんだろう? 少し描けるようになったら、のびのび描ける少女漫画の方にいこうと思ったとしても不思議ではないですよね。
柳本:わぁ、三〇〇万円もちにげだ……!(笑)
花沢:これを青年誌用に、男の読者が読んでもOKなように作り替えてくれと言ったら、やってくれそうかというと……。
浅野:今後もこの賞が続くかわからないですけれど、今回、何が選ばれるかで、次の応募作品がなんとなく決まってくると思います。
柳本:『終わりの季節』は、僕だけアホみたいに低い点を入れているんですけど、いいんですか? 僕はいいんですけど。
菊池:花沢さんはいかがですか?
花沢:読んだときの面白さ的には一番かもしれないですね。
奥:僕も好きでした。
柳本:僕はこれも『ひまわり』と同じような評価なんですが…。
浅野:僕も話はけっこう好きで、いいなと思うんですけれど、この絵柄、この内容でやるならせめてもう少しひっかかる台詞が欲しかったというか。そういう部分でトータルで上位にならなかった感じですかね。