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2018.04.22 16:00  週刊ポスト

顔芸が特徴的な柳家一琴 古典をそのまま演じる面白さ

 その後、予定どおりの日程で開催されたのは13日のみ。11日の振替公演が19日に実施された他、3回分が4月に延期された。ちなみに11日のネタ出しは『死ぬなら今』『矢橋船』『付き馬』。

 あれから7年。午後2時開演で1席目『長屋の花見』、続いて2席目の『紙入れ』を終えた後、一琴はそのまま高座に残り「2分ほど過ぎてしまいました。7年前の3月11日、午後2時46分でございました」と言って、観客と共に1分間の黙祷を捧げると、あの日のことを振り返り、まだまだ復興に程遠い地域が沢山あることを忘れちゃいけないと語った。彼は震災後の数年間、いわき市で復興の手伝いをしていたという。

 一琴は、柔軟な顔の筋肉を活用した「顔芸」が特徴的な演者ではあるけれど、基本的に「古典を普通に演じて面白い」タイプ。この日演じた『長屋の花見』などは一琴の「落語の上手さ」を存分に味わえる演目。こういうワイワイガヤガヤ系の面白さはまさしく「柳家の本寸法」といったところだ。『紙入れ』は気弱な間男のキャラが何とも可笑しい。

 休憩後に演じた『茶の湯』は、師匠小三治の型を受け継いだもの。10年ぐらい前、小三治が『茶の湯』を集中的に高座に掛けていたことを懐かしく思い出す。得意の顔芸も存分に活かされ、冗長さを避ける演出に光るものがあった。

 ちなみに一琴は池袋演芸場で毎年橘家文蔵が開催する「落語協会大喜利王選手権」の第2回(2011年3月)の優勝者だった。今年は4月28日(土)、もちろん一琴も出演する。

●ひろせ・かずお/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『噺は生きている』など著書多数。

※週刊ポスト2018年4月27日号

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