他方、星野リゾート OMO5 東京大塚のコンセプトは「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル」。既存の宿泊特化型ホテルと異なる新業態として差別化を図る。
宿泊特化型ホテルは、フルサービス型のホテルと比較してゲストへ提供できるサービスは限定的といえる。ホテル本体での魅力を発信できる手段も限られる。ゆえに立地やコラボといった、ホテル本体以外に存する魅力のフォーカスは、地域の活性化という点に加え、ホテルの利用価値を高めるためにも有用な運営手法といえる。
星野リゾートOMO5 東京大塚が、ビジネスホテルではないことは客室にも表れる。基本的にシングルルームはない(ユニバーサルルームのみ設定あり)。「YAGURA Room」と称する19平方メートルの立体的なイメージの客室は天井の高さが印象的。就寝スペースは階段を上がった「やぐら寝台」。収納スペースにも工夫がみられ、限定的な客室面積にして洗い場を備えたバスルームも実現した。
星野リゾートOMOの「旅のテンションを上げる」というコンセプトを体現するのが、「Go-KINJO」。ホテルにこもらずどんどん街に出かけてもらえるよう、ゲストが街に溶け込むことをサポートするサービスだ。「ご近所マップ」や「ご近所ワークショップ」などに加え、最も印象的なのはスタッフが扮する「ご近所専隊OMOレンジャー」だ。
初代OMOレンジャーは5人。テーマカラーのユニフォームを装着、ゲストと共に街へ繰り出しディープな魅力まで紹介する。大塚でいえばいまも現役の花街「三業通り」など、一見ではハードルの高いお店もガイドする。お酒、カルチャーなど、ガイドそれぞれ得意分野があり自身の経験から案内するコースだ。案内先などの要望は一切受け付けないというから徹底している。
大都市部の駅近ホテルといえば、ビジネスユースの取り込みは必須であったが、敢えて観光ホテルへ舵を切る星野リゾート OMO5 東京大塚。大都市東京に溢れる観光客を取り込み、旅のテンションを上げることができるのか。これまでの同社にはない都市型ホテルへの挑戦にスタッフのテンションもアップしているという。
これまでの高級リゾートや温泉施設と異なり、宿泊特化タイプということで料金は7000円~(変動する場合もあり)と低価格帯だ。星野リゾートというブランドを冠する施設だけに、「この料金で星野リゾートに泊まれる!」という期待もあるだろうが、低料金はあくまでもOMOブランドコンセプトの理解が前提となる。