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「いつか大勝ちすれば楽になる」はギャンブル依存症の典型例

ギャンブルによる多重債務で自殺者も

 いよいよ日本でも“カジノ解禁”が現実味を帯びてきたが、華やかなリゾート施設(カジノも含めた統合型リゾート=IR)の建設や、カジノによる経済効果を期待する声が高まる一方で、「ギャンブル依存症」という負の側面が蔑ろにされつつある。

 こうした状況に危機感を訴え続けているのが、「ギャンブル依存症問題を考える会(一般社団法人)」代表の田中紀子氏だ。祖父、父、夫、そして自らもあらゆるギャンブルにのめり込み、多額の借金で首が回らなくなった過去を持つ。たとえ日常生活が破綻しても決してやめられないギャンブル依存症の恐怖について、自身の経験も交えて語ってもらった。

──ギャンブル依存症とは、どのような状態になることを指すのか。

田中:簡単にいうと、ギャンブルをすることによって、快感などを得る頭の中の神経伝達物質(ドーパミン)が過剰に反応し、「もっとギャンブルをやりたい」とか「やめたいけれどやめられない」と自分の行動をコントロールできなくなる病的状態のことをいいます。

 それは日常生活に支障をきたすレベルになっても治まることはありません。私の経験値でいえば、自分で返せないほどの借金を繰り返し、誰かに何度も尻拭いを頼むようになったら立派なギャンブル依存症です。

──ということは、自分の持ち金の範囲内でギャンブルを楽しむ分には、いくら使っても依存症ではないのか。

田中:たとえば芸能人でも大金をつぎ込むギャンブラーはたくさんいますが、自分の稼ぎの範囲内で賭けているなら、それは依存症とはいわないでしょう。でも、会社の金をギャンブルに注ぎ込み、巨額の借り入れまでしていた大王製紙の井川意高・前会長のような人は完全に依存症です。

 井川さん自身も告白していますが、「ギャンブルで負けた金はギャンブルで必ず取り戻す」と考える人は、典型的な依存症者です。スクリーニング検査をして一般の人との差が顕著に表れるのもそこです。

──依存症でなくても、負けた分は取り返したいと思う人は多いのでは?

田中:誰もがそう思っているわけではなく、負けても仕方ないと他の事に気持ちを切り替えられる人は多い。「絶対に取り返してやる!」と一点に熱くなってしまうタイプは要注意です。

 上手に依存できる趣味や楽しみがある人たちは幸せです。でも、依存症の人たちは依存していくことが下手な人たち。私も発症する前は、バブル世代なので踊りに行ったり、カラオケや温泉に行ったり……意外に裁縫も好きで、いろんな物を作ったりとかしていたのですが、依存症になって濃厚にギャンブルにはまった日から、他のものに依存できなくなってしまったんです。

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