末期がんで標準治療が終わったら緩和ケアを勧められることも、患者にとっては死を待つことと同じです。患者の立場からすると、わずかでも希望を持てることが残りの人生を生きる上で非常に重要。そうした治療法を広めたいとひろはずっと望んでいたので、ぼくは政治家としてその遺志を継いでいきたい。妻と同じ苦しみを持つ人に同じ思いをさせないように、さまざまな仕組みを変えていくことが必要だと思います」
弘子さんが人生をかけて遺した数々のメッセージは多くの人の心を動かした。弘子さんの通夜では、面識のない50代の男性が朋己さんを訪れた。
「“彼女は命の恩人。ぜひ焼香をさせてほしい”と言われたので話を聞くと、ステージIIIの肝臓がんがわかり、自暴自棄になって治療を拒否していた時期に妻を知り、“20才そこそこの子が頑張っているのだからおれも頑張らないと”と勇気を出して治療に励み、完治されたとのことでした。
彼女のメッセージが多くの人に生きる希望を与えたことを改めて実感しました。ぼくにとってひろは最愛の妻であり、人生の師匠でもありました」
※女性セブン2018年5月10・17日号