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「タダでも欲しくない」不動産が日本中で増え続けている

 日本の不動産=土地に対する需要は、この20年で著しく減少したと言っていい。それが、遠隔郊外や地方の不動産の「無価値化」につながっている。

 日本の少子高齢化や人口減少には歯止めがかからない。この大きな流れがある限り、日本中の不動産の「無価値化」が進行する。

 私の知り合いの秋田県人は、親が残した田舎の田畑と家屋の処理に苦悩している。熊本県人は、間もなく相続することになる同様の不動産の処分について、私に相談を持ち掛けた。ブログ読者の新潟在住者は、商店街の店舗を無料で譲り受けてリサイクルショップを経営している。

 私は東京23区の新築マンションの建築現場をくまなく調査している。ここ数年で強く感じることは、商店街の衰退。シャッターを下ろした店舗が7割以上を占める商店街が多い。仮にそういった店舗を無料で手に入れても、採算の取れる経営ができるとは思えない。可能性があるとすれば、せいぜい飲食店の類だろう。

 そういう店舗は、商店主の住居と兼用している場合も多かった。しかし、かなり手狭で不動産的な価値も乏しい。いくつかまとまればマンションとして再生できる。現に「○○マーケット」的な大きな店舗だったところは、徐々にマンションになっている。

 今後、そういった10坪前後の狭小不動産は、どんどん無価値化するはずだ。

 一方、東京の都心エリアを中心とした不動産の局地バブル現象は、今も続いている。新築マンションの坪単価が1000万円などという、非現実的な現象が発生している。特に、五輪開催で浮かれた湾岸エリアのタワーマンションは、もはや「狂乱」といっていい状態。金利の上昇やリーマンショック級の事件、あるいは大きな地震でも起きれば、たちまち幻想は崩壊してしまうことが目に見えている。

 日本の大半のエリアでは不動産の「無価値化」。そして、ごくごく限られた場所では狂乱の「局地バブル」。この国の不動産市場はやや不健全だ。それは日本人が「一所懸命」というDNAの呪縛を脱する、産みの苦しみなのかもしれない。

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