「認可保育園とは、施設の広さや職員数など国が定めた認可基準をクリアした保育園のことですが、私立の場合は経営母体は民間です。そのため、運営や人事は保育園を経営する民間の事業者と園長に一任されています」

◆市は“引き抜き”と解釈していたか?

今回の2つの園はともに私立である。

「また、職業選択の自由が憲法で保障されている以上、保育士が別の保育園に転園すること自体に規制をかけることはできませんが、同園のように大量に保育士が転園するケースは前代未聞でしょう。事業者の責任も大きいですが、保育の実施責任は市にあり、監査も行っているはず。閉鎖する前に行政が真摯に対応すべきだったと思います」(猪熊氏)

「寺谷にこにこ保育園」では、大人数の退園が判明した時点で、この事態を打開すべく、同園の代表が、横浜市に園を運営する方法を探してほしいと掛け合った。

しかし実際に横浜市が動いたのは相談から2か月たった後だったという。前出の同園関係者が言う。

「それも『新しく保育士を採用するならば、こんなふうにしたらいい』などのアドバイスを少しくれた程度で、何の解決にもなりませんでした。そのうえ、市からは引き抜きのことは隠してほしいと言われてしまったのです」

前出のA子さんは“引き抜き”を否定していたが、横浜市は“引き抜き”と認識していたことになる。前出の同園関係者が続ける。

「市が引き抜きを隠そうとしたのは、この事実が明らかになって、市が掲げた保育園の数を増やし、児童受け入れ枠を拡大する計画が頓挫してしまうことを懸念したからではないでしょうか」

市内の保育園を管理、運営する横浜市保育・教育運営課に今回の一件について話を聞いた。

「鶴見中央はなかご保育園に関しては、引き抜きではないと聞いています。また市が寺谷にこにこ保育園に引き抜きの隠蔽を依頼したということは、一切把握しておりません」

※女性セブン2018年5月24日号

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