ビジネス

国のエネルギー政策は経産省任せではなく国民投票で決めよ

大前氏がエネルギー政策を語る

 日本のエネルギーの中心は、原子力になるはずだった。ところが、2011年3月の福島第一原発事故のあと、この方針は現実的ではなくなった。今後、日本のエネルギーはどのような運命をたどるのか。経営コンサルタントの大前研一氏が、そのあるべき姿について提言する。

 * * *
 経済産業省の有識者会議「エネルギー情勢懇談会」が4月にまとめたエネルギー長期戦略の提言は、極めて抽象的かつ総花的な内容だ。「総力戦」という時代錯誤な表現を使い、再生可能エネルギー、原子力、化石燃料、蓄電の組み合わせについて「複線型で、状況変化に応じて重点化を行い、それに足下の打ち手を的確に適用させていく」としているが、これはほとんど何も言っていないのと同じである。続いて発表されたエネルギー基本計画の骨子案も、原発を「重要なベースロード電源」としながら「依存度を可能な限り低減させる」とどっちつかずの位置付けとなっている。

 現在の安倍政権は“経産省内閣”と揶揄されるほど、首相周辺で経産省出身者が重用され、同省出身の側近がトランプ米大統領との関係など外交まで差配しているとも言われている。だが、その一方で経産省は日本のエネルギー政策はどうあるべきか、なかんずく原発をどうするか、という議論を曖昧なままにしている。

 安倍政権の発足後、経産省はずるずると原発再稼働に向けて動き始めた。本来は福島第一原発事故の原因を徹底的に検証し、どうすれば事故が防げたのか、今後の対策はどうあるべきか、といったことを入念に議論した上で、再稼働できる理由を国がきちんと国民に説明しなければならないのに、全くやっていない。

 安倍首相の次の首相には、ぜひ今後のエネルギー政策と原発問題で3~5年後をめどに国民投票をしてもらいたい。それは安倍首相型のなし崩し的推進論でも、小泉純一郎元首相のような危機感だけを煽る反対論でもなく、客観的なデータと見通しに基づく冷静な議論を重ねた上での国民投票だ。

 たとえば、スウェーデンは1980年に原発利用の是非を問う国民投票を行ない、新たな原発は建設せず、2010年までに全原発を閉鎖すると決定したが、太陽光や風力がなかなかうまくいかないため、現在は原発存続に舵を切っている。

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン