人狼ゲームとは、プレイヤーが村人チーム、人狼チームに分かれ、生き残りをかけて戦うテーブルRPG。村人は、人間のふりをした人狼を探す。人狼は、村人のふりをする。1ターンごとに、プレイヤーが投票を行い、最も人狼と疑われたプレイヤーを追放。村人と人狼、どちらのチームが最後まで生き残れるかを競う。
ウソを操る人狼ゲームは心理戦、ゆえに意外な人間の本性も現れる。
実は人狼ゲーム、アイドルによるネット配信番組ではおなじみの企画だ。人は二重のウソはなかなかつけない。普段、アイドルを演じているアイドルも、人狼ゲームでは素顔がチラつく。ピュアなキャラで売っている子がめちゃくちゃ嘘が上手かったり、姉御キャラが大人げなくヘソを曲げたり、元来の性格がポロリと漏れる。またプレイには特別な道具が必要ないため、ゲームに参加する人数さえそろえばよい。そういった意味でも人狼ゲームはコスパが良く、重宝されるのだろう。
しかし、『7.2 新しい別の窓』の人狼ゲームは他の番組とかけるコストが桁違いだった。このためだけに作ったというスタジオセットは豪華絢爛。プレイヤーを囲む巨大な液晶ディスプレーは、見るからに値段の張るものだ。
香取も「こんだけ立派なセット立てちゃったからねぇ、今日1回で終われないでしょ、コレは」とつぶやく。
肝心のゲーム展開は、視聴者としては楽しみづらいワンサイドゲームだった。しかし、豪華セットのギミックが非常に良く、見ていて飽きることはない。一方的なゲーム展開ではあったものの、稲垣、草なぎ、香取のゲーム中でのふるまいは各々の性格を映していた。
耳の後ろをかいただけでで、真っ先に人狼と疑われた草なぎ。そして、抵抗する間も無く追放される。これまたリアルな処刑台のセットに捕らえられ、「オッパッピー」と明るくふるまえば、最後まで「人狼だ、あのひと人狼だよ」と揶揄される。優しいがゆえに、損な役回りをやりきるのが草なぎらしい。
初プレイながら心理ゲームを楽しむ稲垣。口数は少ないが、人狼である香取を追い詰める。他のプレイヤーに意見を変えることを求められても「僕は意見は変えない」と頑固な性格が覗く。人狼チームの勝ちが決まったゲーム終了後、「途中からは絶対、人狼は慎吾だと思ってた。性格も良く知っているし」と語る。30年以上、家族よりも多い時間を過ごしてきた2人の絆を感じるコメントだ。
3人のなかで唯一の人狼だった香取は、巧みにゲームを操る。プレイ中の香取の冷静な目は迫力があった。この淡々とした感じは、映画『クソ野郎と美しき世界』で香取が演じた香取慎吾役に近い。テレビを通してよく知られた、元気印の慎吾ちゃんとは大きく違うローテンションな本人役。役柄があまりにもフィットしていたので、見た人誰もが「これこそ素の香取慎吾なんだろうなぁ」と思っただろう。このように人狼ゲームでの香取は超冷静で。村人からの疑いもサッと煙に巻く。クレバーな香取は新鮮だった。
香取がつぶやいたように『7.2 新しい別の窓』では、今後も人狼ゲームが続けられるだろうか。プレイヤーが卓越するほどに、騙し合いが上手くなっていくのが人狼ゲームの醍醐味。3人が慣れてくれば、ゲームの緊張感は更に増す。素の表情が漏れる機会も増えるはず。3人の素顔がふと出るシーンを僕は見てみたい。人狼ゲームが『7.2 新しい別の窓』の定番となることを願いつつ、第3回目の配信を待とうと思った。