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「内科医は若いほうがいい」調査結果に66歳内科医の見解

興味深い論文を発表した津川友介医師

 医師の年齢と治療の実力には因果関係はあるのか? 統計調査によってこの疑問に対する回答が出た。

 論文の著者は、ハーバード公衆衛生大学院の津川友介医師(現・UCLA医学部助教)。津川氏の研究では、内科医については、アメリカの病院に勤務する1万8854人の内科医が治療にあたった73万6537症例(2011~2014年)に関して、医師の年代ごとに患者の死亡率(入院30日以内)を比較している。

 それによると、医師の年齢が40歳未満では、患者の死亡率は10.8%、40~49歳では11.1%、50~59歳では11.3%、60歳以上では12.1%となっている。医師の年齢が上がるほど、死亡率が上昇しているのだ。津川氏の研究は、アメリカの医師、患者を対象にしている。日本でも当てはまるのか。

 津川氏は、「本研究は、医師や医療機関などにアンケートを取ったりするものではなく、客観的なデータだけを用いているので普遍性は高く、日本で実施しても、同様の結果が得られる可能性は高いと考えます。特に、外科医の経験年数が長くなるほど患者の予後が良くなるというのは、妥当性が高いといえます」と言う。

 日本においては同様の研究は行なわれていないが、現場の医師たちはこの研究結果をどう受け止めるのだろうか。現在66歳の神経内科医で、米山医院院長の米山公啓医師は自戒を込めてこういう。

「もちろん全員とはいいませんが、内科医の多くは年齢を重ねるにつれ、最新の医学情報と疎遠になっていく傾向があります。私も60歳を過ぎた辺りからキャッチアップするのが大変になっている。

 一方で、30代や40代の内科医は大病院に勤務しているケースが多く、病院内で定期的に開かれる研究会や症例検討会等に参加できるため、高齢の開業医に比べると最新情報を吸収する機会が圧倒的に多い」

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