芸能

高齢化するファンのために地下アイドルができること

「ファンが癒やされると私も癒やされる」と姫乃たまさん

 ゴールデンウィークの前半、4月29日に『Mr.サンデー』(フジテレビ)で、孤独死した50代男性ファンのために、地下アイドルが追悼ライブを行った様子が放送された。インターネット上でも大きく話題になったこの特集を、地下アイドルでライターの姫乃たまさんは「人ごとではないです」と思いながら見たという。「卒業」せずに年齢を重ねるファンのために、地下アイドルは何をするべきなのか、姫乃さんが「バブみ」をテーマにするようになった理由とともに語った。

 * * *
 先日、デビュー9周年を迎えました。地下アイドルになってからもう、10年目になります。十代の頃は成人するまでに引退しようと思っていたので、短い期間をアイドルらしく駆け抜けなければと思い込んで、鬱っぽい日々を送っていました。しかし、活動期間が長くなるにつれて、アイドルらしくいることよりも、自分らしくいられることにこだわるようになって、いまでは自ら「地下アイドル」と名乗るのを止めています。自然体で活動を続けたことで文章を書く仕事が増えて、3年前に初めて単行本を出した頃から、アイドルライブに出演する機会がすっかり減ってしまったのです。

 しかし、これまで地下アイドルとして活動しながら、地下アイドルについての文章を多く書いてきたので、メディアで紹介される時は、どうしても肩書きが「地下アイドル」になってしまいます。現役でしっかり地下アイドル活動をしている人たちがいる中で、地下アイドルらしい活動をあまりしていない私が「地下アイドル」と呼ばれることを、ずっと肩身狭く感じていました。

 そのことでしばらく悩んでいたのですが、9周年の日をきっかけに地下アイドルを自称しなくなってから、反対に「地下アイドル」と呼んでもらうことに対しては何も思わなくなりました。私自身がどう考えていても、周囲の人たちや、特にファンの人たちにとっては、私が地下アイドルであることに変わりないからです。

 これまで過ごしてきた9年という時間。これまでのことを振り返っていると、自分とファンのこれからにも思いが及びます。

 地下アイドルは、ファンとの距離が近いところが特徴です。その近さを知らない人からすると、良くも悪くもちょっと驚くような交流もあります。この間は、悲しいけれど良いほうの交流が話題になりました。3月下旬に「アラサーロリータシンガーソングライター」の肩書きで活動している有坂愛海さんが、十年来のファンの追悼ライブを開催するとブログで発表したのです。

 有坂さんは、10年前からほぼすべてのライブに来てくれていた50代の男性ファンが、手術後からSNSを更新せず、まったく姿を見せなくなったことを気にかけていました。同時に有坂さんは、家族よりも顔を合わせていた彼の住所すら知らなかったことに気が付いて、アイドルとファンの関係についていろいろと考えます。過去の予約メールなどを頼りにようやく彼の自宅を探し当てましたが、訪ねた先で、近所の人から彼が既に亡くなっていたことを知らされました。男性ファンは独身で、家族もおらず、最期を見送るお葬式もなかったことを知り、有坂さんは彼のために追悼ライブを行うことにしたのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン