国内

日大悪質タックル問題を“炎上案件”にしたメディアの責任

これほどまでに“社会的制裁”を与える必要があったのか(時事通信フォト)

 テレビはこの3週間、朝から晩まで何度「タックル映像」を流したのか。無数のフラッシュを浴びた反則選手は引退し、指示を否定したまま監督もコーチも辞任に追い込まれた。その後の日大選手たちにも過度な注目が集まり、躍動の場を奪われている。多くの人がルールも知らない学生スポーツの1つのラフプレーを、誰が「視聴率の稼げる社会現象」に祭り上げたのか──。

「レッツ、ゴー、KG!」。大阪府吹田市の万博記念公園内のグラウンドに、青いミニスカートをはいたチアリーダーたちの黄色い声援が飛ぶ。関西学院大学アメリカンフットボール部のクォーターバック(QB)、奥野耕世選手(19才)の右手から放たれたボールは美しい放物線を描き、38ヤードのタッチダウンパスになった。

 ワイドショーやニュース番組で見ない日はない「日大アメフト部タックル騒動」勃発から3週間後の5月27日、反則タックルを受けて負傷した奥野選手が復活して、フィールドで躍動した。

「すごい騒動やけど、けがはたいしたことなさそうや。本番の秋シーズンは活躍するやろね。去年の大学チャンピオンの日大はもうアカンやろから、今年はKG(関学)で決まりやな」(観戦していた関学ファンの1人)

 反則した日本大学の宮川泰介選手(20才)は競技からの引退を表明した。会見で深々と頭を下げ、反則までの経緯を隠さずに淡々と話した姿は、意外な反応を誘った。

『とくダネ!』(フジテレビ系)の小倉智昭は「昨日の20才の青年の記者会見、立派でしたね」と評価し、「彼がやった行為は追い詰められて(中略)本当に大人に腹が立つ」と語った。

『バイキング』(フジテレビ系)MCの坂上忍は、「まだ20才ですよ。この間まで未成年。そんな子がなんで、あんな席であんなことを告白しなければならなかったのか」「ぼくは宮川くんの言葉を信じたい」と全面擁護した。

 しかし一方で、自身も高校時代にアメフト部だったというジャーナリストの木村太郎氏は『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)でこう語っている。

「(指導者から)QBを潰してこい、壊してこいって言われたことはよくあります。でも、それは決して(プレー終了の)ホイッスルが鳴っているのに、後ろからタックルするなんてことは、(指導者は)到底思っていない」

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