国際情報

中国の夕刊紙 「扇情的な記事書くな」で記者40人以上退社

中国の夕刊紙で何が?

 中国の新聞のなかでも、調査報道など欧米型のニュージャーナリズムの手法を用いての斬新な報道で知られる夕刊紙「法制晩報」の記者が今年1月から40人以上も辞職していることが明らかになった。短期間での記者の辞職者数では、ここ10数年来の中国の報道機関のなかでは最多。

 この原因は、今年1月に就任した新社長が「中国共産党や政府の発表した通りの記事を書けばよい」などとして、これまでの調査報道などの同紙独自の報道形態を強く否定しているため。ネット上では「新社長は保守ゴリゴリの毛沢東主義者」などの書き込みがみられる。この件については、米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」が報じた。

 この新社長は法制晩報の親会社である「北京青年報」の副社長だった彭亮氏で、今年1月に北京青年報を発行する北京市共産主義青年団が彭氏を社長として送り込んだ。

 もともと法制晩報は独自のニュースが多数掲載されていたことが特徴で、北京市民に最も読まれている新聞といわれている。しかし、その独自路線はしばし党指導部や外国との軋轢も招いてきた。

 例えば、中国の最高指導者である習近平国家主席は高級幹部子弟である太子党の典型的な人物として知られるが、同紙は北京大学の調査結果をもとにして、太子党たちが、いかに不正蓄財をして、海外に富を持ち出していたのかを記事にしたことで、党幹部の逆鱗に触れたことがある。

 しかも、これをものともせず、編集幹部は相次いで刺激的なニュースを報道。同紙の独自調査で、「国民の80.4%が中国産食品を疑っており、なかでも63.7%は『まったく信用していない』と思っていることがわかった」という記事や、「中国の4分の1の都市には本格的なゴミ処分場がなく、3分の2の都市はゴミに覆われ、一次汚染が発生しているという。経済発展とともにゴミの量が増え続け、今や3億トン以上のごみ排出国となるなか、具体的な対策は後手に回っている」といった記事も党政府幹部の神経を逆なでした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト