ライフ

有料老人ホームの事故 年1万2206件に上り、うち死亡は85件

安心して入居できる施設はどこに?

 2016年に発覚した、川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で入居者3人が相次いで転落死した事件で、横浜地裁は元施設職員の男に今年3月22日、求刑通り死刑を言い渡した(控訴中)。今年6月には、前橋市内の老人ホームに入居していた認知症の女性が行方不明になり死亡した事故をめぐって、遺族が施設を訴えたことが報じられた。

 老人ホームではこうした事件・事故が後を絶たないが、表立って報道されるのは全体のごく一部かもしれない。介護評論家の佐藤恒伯氏が言う。

「厚労省は老人ホームで起きた事故に関する詳細な調査を行なっておらず、件数についても把握していません。つまり、全国の施設でどのような事故がどれくらい起きているのか、実態が分からないのが現状です」

 厚労省は老人ホームに指導監督権を持つ自治体に対し、施設の運営会社に事故を報告させるよう指導している。にもかかわらず厚生労働省は、その報告をまとめた全国調査をしていないという。老人ホームの入居者やその家族にとって、どの地域でどのような事故がどれぐらい起きているのかの情報は極めて重要なのに、それを知る術がない。

 そこで本誌・週刊ポスト取材班は、国に代わって「介護付き有料老人ホーム」の事故件数に関する聞き取り調査を行なった。

 介護付き有料老人ホームは設置の際に所定の都道府県、その県の老人ホーム数が多い場合は、政令市または中核市のいずれかに届け出る。届け出を受理し、指導監督を施設に行なう全国112自治体が今回の調査対象だ。該当する老人ホームの施設数は3775施設(届け出が完了している2016年度時点)、定員数は45万7918人に上る。

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン