国内

野良猫との接触や鳥類からうつる感染症、死亡例もあり

コリネバクテリウム・ウルセランス感染症は、犬・猫から感染する可能性がある(写真/Getty Images)

 ペットとキスをしたり、一緒に寝たり…今や当たり前になった光景ですが、実は要注意! 過度なスキンシップは、飼い主に感染症を引き起こすだけでなく、最悪の場合、死に至らしめることもある。飼い主なら知っておきたいペットからの感染症について紹介する。

 今年1月、福岡県の60代の女性が、動物から人に感染する、コリネバクテリウム・ウルセランス感染症により死亡していたことがわかった。

 厚生労働省によると、女性が亡くなったのは2016年5月。女性がエサを与えていた野良猫のうちの1匹から、同じ菌が確認されたことから、厚生労働省は猫から感染した可能性があると考えている。同感染症による死亡例は国内初。動物からうつる感染症で、人が亡くなることもあるのだ。

「野良猫に限ったことではありません。家庭で飼っているペットからも感染することはあります」

 と話すのは、白金高輪動物病院顧問の佐藤貴紀さんだ。

 動物から人に感染する病気を総称して、“動物由来感染症”という。世界保健機関(WHO)で把握されているだけでも、その感染症の数は200種以上。それらすべてが日本に存在するわけではないが、国内でも数十種類は確認されている。

◆ひっかれたり、なめられると感染。

 動物由来感染症の中でも、特に近年増えているのが、パスツレラ症だ。パスツレラ菌は犬や猫の口の中に普通にいる常在細菌。かまれたり、ひっかかれたり、なめられたりすることで、この菌が人にうつり、発症するという。

 ほとんどの場合、皮膚が赤く腫れる程度の症状ですむが、傷が深いと骨髄炎になることもある。

 ほかにも、ドブネズミなどの尿から感染するレプトスピラ症や、キタキツネから感染するエキノコックス症、ミドリガメやイグアナなどからうつるサルモネラ症、インコやオウム、ハトなどのフンに含まれるクラミジア菌を吸い込むことで感染するオウム病なども、主な動物由来の感染症として挙げられる。

厚生労働省によると、鳥類からうつるオウム病には、毎年数十人が感染。2017年には妊婦2人の死亡例が報告されている。エサを口移ししたりすると感染するので注意が必要だ。

 動物から人に感染する病気は多々あるが、その認知度がかなり低いのが問題だと、前出の佐藤さんは指摘する。

 福岡県が独自で行った調査では、飼い主の約6割が動物由来感染症の危険性を認識していなかったという。

「かわいい容姿に惑わされがちですが、動物は必ず、なんらかの病原体を持っています。毎日お風呂に入るわけでもないですし、肉眼で見えなくても毛の間や足裏などに細菌やウイルスが付着していることも多いんです」(佐藤さん)

 今は昔と違い、ペットの飼育場所が外から室内へ変わってきている。一緒の布団に寝たりと、ペットと人との距離が近くなり、動物由来感染症に感染するリスクは増えているのだ。

 厚生労働省においても過度な接触を避けるよう、呼びかけている。

※女性セブン2018年6月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン