国際情報

中国で高級車を傷つけ、メモまで貼り付けた22歳男の末路

高級車が狙われた(写真:アフロ)

 これも格差が生んだ事件だといえようか。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * * 
 ある日、駐車しておいた車に戻ったら傷が──。マイカー所有者にとって考えたくない悪夢の瞬間であるが、それがわざとつけられていたとすれば怒りは収まらない。だが、寧波に住むサラリーマンの王さんが見舞われた災難では、怒りを覚える前に、頭の中に疑問符が充満した。

 というのも傷をつけられた車には、ご丁寧に犯人からと思われるメモが貼り付けられていて、そこに「5万元(約85万円)を貸してほしい」と書かれていたからだ。メモの写真を添えて報じたのは『青年時報』(5月23日)である。

 車に貼り付けられていたメモは、横書きのレポート用紙で、A4サイズ。特徴的であったのは「こんにちは、おじさん」という書き出しが丁寧であったことだ。

 メモの中身には、犯人の父親が病気であり、治療費が必要だということ。犯人は、こんな車(リンカーンMKC)に乗れるほどの金持ちなら借りられると考えたようだ。だが、それならば車に傷をつけず、メモだけを残せばよいのではないかと考えてしまうのだが、それはそうでもないらしい。

 メモには、貸してくれないのであれば、今後、もっと大きな傷をつける、と予告されているからだ。

 劉と名乗るこの人物、ご丁寧にウィチャットのアドレスを残していたという。記事によれば、被害者の王さんは腹を抱えて笑ったというから愛車の傷はそれほどこたえなかったのだろう。そして結末は読者の想像の通り。間もなく犯人は御用となった。

 犯人の劉は22歳。父親が入院しているというのはもちろんウソで、本人は近くの電機メーカーの労働者で、毎月4000元(約6万8000円)のサラリーを得ていたという。

 犯行の動機は、遊ぶ金が不足し、ネット金融で約5万元の借金をつくっていたことだった。劉が傷つけた車は王さんのリンカーンの他にも二台あり、いずれも高級車。傷の修理代のために劉の借金はさらに膨らんだという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト