つまり、自身にとって都合の悪い内容については、「憶えてない」という言葉を免罪符のように繰り返す。そして、うっかり口を滑らしてしまったあとには、記憶の減退を訴えて、みずからの前言を打ち消そうとしているように見えたのだ。
私は面会の過程で、千佐子自身の口から、「実際に何人を殺めたのか」を明らかにすることはないだろうと実感した。
彼女には他の殺人者が持っていた“悪意”が欠けている。だからこそ、まるで仕事のスケジュールを埋めるかのごとく犯行を重ねていったのではないか。
※週刊ポスト2018年7月13日号