ライフ

出口治明氏 日本人よ、「定年」という観念をもう捨てよう

ライフネット生命の創業者・出口治明氏

 定年後、私たちはどう生きるのか──そのヒントを、ライフネット生命の創業者・出口治明氏は「戦前の日本」に見いだす。歴史学者の奈良岡聰智・京都大学大学院教授を相手に、「古くて新しい日本人の生き方」を提示する。

奈良岡:出口さんはなぜ、明治期の実業家に興味を持たれたのでしょう?

出口:僕は歴史についての講演をよく頼まれるのですが、その際に「日本人の良さ」や「日本人の特徴」とは何かと質問されます。昔はあまり深く考えずに「真面目さとか我慢強さでしょうか」と答えていました。ところが、昔の実業家たちの型破りな生き方を知れば知るほど、ひょっとすると全く違うのではないか、と考えるようになりました。

奈良岡:明治期というのは、まだ国民国家としての日本のあり方が固まっていなかった時代ですよね。だからこそ、日本という国家のあり方、お金のつくり方、社会や組織と人間とのかかわり方も多様だったんですね。

出口:製造業の「工場モデル」が社会を牽引した高度成長の時代は、確かに「メザシの土光さん」のような質素倹約型が、日本人経営者、あるいはビジネスパーソンの理想的な姿と考えられたかもしれない。でも、ほんの100年ぐらい時代を遡ってみれば、映画ビジネスで大儲けしながら孫文の革命にほとんど全財産を投じた梅屋庄吉や、真珠の世界的ブランド・ミキモトを作った御木本幸吉のような、現代の感覚からはかけ離れたスケールの実業家がいた。

 スティーブ・ジョブズ(アップル創業者)の人物伝を読まなくても、日本にだってまるで今のシリコンバレーの起業家のような規格外の人間が、ゴロゴロいたんじゃないか。そう思って起業家たちの生き方から学べることを『戦前の大金持ち』(小学館新書)という本にまとめました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン