患者にとって有益な指標となるサバイバー生存率だが、現時点では課題も多い。
「専門家でないとわかりにくく、患者さんやご家族に理解してもらうにはハードルがあります。医療現場への周知が遅れ、多くのドクターがサバイバー生存率を知らないことも大きな課題です」(伊藤さん)
現在、このデータを患者に提示するのは大阪大学病院の一部の医師にとどまる。伊藤さんは一般向けに情報発信するサイトを制作中だ。
「全国がん登録協議会と全国がん患者団体連合会がパートナーシップ協定を組み、サバイバー生存率を含むデータをわかりやすく公開する取り組みを行っています。がんの部位だけでなく年齢やステージ、手術の有無などによってもサバイバー生存率は変わるので、より細分化したデータベースやデータの見方についての解説をできるだけ早く公開したいですね」(伊藤さん)
早期の普及が待たれるが、現時点でもがん患者から医師に働きかけることはできる。
「がん患者さんやその家族ならば、主治医に『サバイバー生存率を教えてください』と聞けば調べてくれるはずです。貴重なデータを実際にぜひ活用してほしい」(伊藤さん)
すべてのがん患者に希望の光が届く日はそう遠くない。
※女性セブン2018年8月2日号