医学が目覚ましい進歩を見せる一方で、いま「漢方」の力が見直されている。2000年以上の伝統を持ち、西洋医学の薬とは違った作用機序による効果が期待できる漢方薬を、様々な分野の名医たちが、改めて高く評価しているのだ。
では、どの漢方を、どんな状況・タイミングで飲めばいいのか。消化器外科医の加藤一彦氏が「自分でも飲んでいる漢方」を明かす──。
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学生時代から漢方薬には馴染みがあって、ストレスで胃がキリキリ痛んだりすると安中散(アンチュウサン)を使っていました。
普段自分で使っている漢方薬は風邪薬が多い。風邪の初期症状でお腹が緩い時は葛根湯(カッコントウ)、鼻水が出る時は小青竜湯(ショウセイリュウトウ)、咳が出始めたら五虎湯(ゴコトウ)や麦門冬湯(バクモンドウトウ)といった具合に、症状によって使い分けています。
近年、漢方薬の研究でわかってきているのは、生薬が腸内細菌のはたらきによって有効成分に変わって大腸から吸収されるということです。大腸から徐々に体内に巡っていくから、飲み続ければ体の免疫力が高くなると言われている。