日光に含まれる紫外線には、皮膚ガンを引き起こすリスクがあります。猛暑日が極端に増えたここ数年は、熱中症は命に関わる危険性があることが広く認知されつつある一方で、日焼けはまだ一般的にそこまで危険とは思われていません。幅口選手も「リスクがあることは知ってはいますが、そのために肌をケアしているかと言えば、そこまで考えていないというのが本当のところです。他の選手もおそらくそうだと思います」と語っています。
それでもスポーツで日差しに身体をさらす人は、きちんと対策を施すに越したことはないでしょう。千葉市教育委員会は今年4月、紫外線の浴び過ぎによる健康への影響が懸念されていることから、市立の全小中学校などに対して、日焼け止めクリームや帽子などで児童生徒を紫外線から守るよう通知したそうです。また、長時間の屋外活動では児童生徒に紫外線の防御法を指導する他、水泳の授業時にはラッシュガードの着用を認めるよう求めています。
幅口選手のように衣服で日光を遮る(熱中症の危険から通気性や吸収性が良いものを選ぶ)、帽子をかぶる(プレーに差し支えがある場合は、ウォーミングアップなど、プレーしていない時だけでもかぶる)、日焼け止めクリームを塗る(汗で流れやすいので、こまめに塗るのが効果的)、日なた以外でできるトレーニングは日陰や屋内で行うといった点に注意することで、日焼けによる多くの問題を解決できます。日焼けは焼けてからのアフターケアよりも、事前のケアの方が効果的とされています。
意外に侮ってしまいがちなのが唇で、身体の皮膚に比べて薄く、皮脂が少ないため、紫外線の影響を受けやすい部位です。全国大会に何度も出場しているママさんソフトボールチームのとある女性は、「日に焼けて黒くなり、口唇ヘルペスのようにただれてしまった」という苦い経験から、「リップクリームをマメに塗るようにしている」と言います。
さらに付け加えれば、眼も紫外線の脅威に晒されますから、サングラスや紫外線カットの効果がある眼鏡を柔軟に使用することをオススメします。
目標達成のためにトレーニングを一生懸命がんばったり、趣味の一環でも思い切り楽しむことを目的としているならば、真夏の時期のスポーツにおいて、ある程度の日焼けは避けられないものかもしれません。ただ、見た目としてカッコ良い、カッコ悪いというのではなく、日焼けは身体に様々な影響を及ぼすということを正しく理解し、身体を守るためにケアする意識を持っていただければ、より充実したスポーツライフを送ることができるはずです。