スポーツ

大阪桐蔭・西谷監督、甲子園史上最高勝率監督への道

大阪桐蔭の西谷浩一監督(時事通信フォト)

 夏の甲子園は記念すべき100回大会の開会式を迎える。3781校の代表として56校がたった一つの深紅の大優勝旗を目指し、“ミレニアム世代”の熱い熱い戦いが繰り広げられるが、その主役なのが史上2校目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭だ。この度、『4千分の1の名将 新・高校野球学[関西編] 』(大和書房)を上梓した高校・大学球児向けフリーマガジン「サムライベースボール」の発行人である古内義明氏が、記念すべき開会式にあたって、大阪桐蔭の西谷浩一監督、そして打倒・大阪桐蔭を果たした名将たちの甲子園にかける思いを綴った。

 * * *
“平成絶対王者”大阪桐蔭の西谷浩一監督は、サンダル履きのスーツ姿で応接室に現れた。

「春の選抜で勝った経験も積めて、昨夏の甲子園では3回戦の仙台育英戦で残酷的な負け方もしたので、『天国と地獄』を甲子園で経験できたメンバーが残っているというのは、強みにしないといけないと思っています」

 史上2校目となる春夏連覇を狙う戦いは、昨夏のあの敗戦から始まっていた。それでも、強豪ひしめく大阪大会、しかもノーシード制を勝ち抜かなければならないため、「次の相手がここだからという計算ができないので難しいですが、そのあたりも含めて、大阪のサバイバル感はあります。大阪大会は通過点のような気持ちで、勝てるほど甘くはありません。大阪で勝った時点で、初めて春夏連覇に挑戦できると思っています。」と、景気のいい言葉は皆無だった。

 高等部のエントランスには、春夏通算6度の全国制覇の優勝旗や盾が所狭しと並べられている。西谷監督は全国制覇をするための絶対に譲れない2つの条件を上げる。

「まずはそれだけの戦力がなければいけません。もう一つは、日本一に対するこだわり。全員がどれだけ日本一にこだわって、日々生活をできるかということです」

 今夏、聖地で5勝以上をマークして優勝すれば、史上最高勝率監督が誕生することになる。

 北大阪大会準決勝で、その大阪桐蔭をあとアウト1つまで追い詰めたのが、ライバル履正社の岡田龍生監督だ。

「甲子園に行くためには、大阪桐蔭は勝たないといけない相手」と岡田監督は断言する。続けて、「大阪の高校野球に対する力の入れようはどこの学校も凄い。寮がいい子は大阪桐蔭、寮が嫌な子はうちみたいな学校になっています」と、現状を分析する。

 今夏は残念ながら、甲子園出場は叶えられなかったが、岡田監督は聖地の魅力をこう語る。

「生徒たちも甲子園に行くと変わります。普段の1か月の練習、1回の練習試合、普段の公式戦と、甲子園の1日と比べると、生徒の伸びる力は全然違います。何と言っても人間的に成長します。それは夢を叶えた部分であり、自信なのでしょうね」

 履正社の戦いは、来春の選抜に向けてすでに動き出している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン