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会社や家庭にも存在する「○○判定」を使いこなす術

日本ボクシング連盟会長の山根明氏(時事通信フォト)

 繰り返されるニュースを見ながら早速「○○判定」の活用術に思いを巡らせていたとしたら、あなたは立派な大人である。コラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。

 * * *
 アマチュアボクシング界が、脳震とうになりそうなぐらい激しく揺れています。きっかけは、7月27日に各地のボクシング連盟幹部らで結成された「日本ボクシングを再考する会」が、日本ボクシング連盟の不正や山根明会長の判定への介入などを指摘した告発状をJOC(日本オリンピック委員会)などに提出したこと。

 あちこちから山根会長に対して「こんなひどいこともしている」「早く辞めるべきだ」という声が上がったり、山根会長本人がテレビ番組に出演して反論したりなど、お互いがノーガードで殴り合うかのような騒動は、ますます拡大する気配を見せています。

 山根会長は「そんなものはない」と言っているのでまだ真相はわかりませんが、とくに衝撃的だったのが「奈良判定」という言葉。山根会長の出身地である奈良県の選手を勝たせるために、公式戦でかなり無理がある判定が行なわれていて、アマチュアボクシング界では「奈良判定」の存在が半ば常識になっているとか。会長が恫喝してやらせているという声もあれば、周囲が忖度した結果という声もあります。

 実際に「奈良判定」があるとしたらとんでもない話だし、それで負けにされた選手はたまったもんじゃありません。がんばっている奈良の選手にとっても奈良県にとっても、いい迷惑です。ちなみに以前、日大出身の会長がいた頃には「日大判定」があったとか。

 ただ、ふと考えてみると、似たような「○○判定」は、会社生活の中にも存在しています。何人かの候補者の中で誰を課長に昇進させるか、企画会議で誰の案を通すか、飲み会の二次会でどのスナックに行くか……。公正な評価とは別に、上司や経営者の好みを忖度して「こっちにしとかないとマズイだろ」という力学が働くケースは、いろんな場面であります。

 罪のないジャンルだと、どの牛肉がうまいかという話になったら、私も含めて三重出身者は「三重判定」で迷いなく松阪牛を推すし、「岩手判定」だったら前沢牛に軍配が上がるでしょう。うどんのコシはいかにあるべきかという議論の場合は、「さぬき判定」と個人的に全力で発動したい「伊勢判定」では正反対の結論になるはず。

 各家庭にも、その家独特の「○○家判定」があります。「やっぱりウチのカレーがいちばん」は家庭内でしか通用しない評価だし、妻に対して何らかの必要性があって「キミのように素晴らしい女性はいない」と言う事態になったとしても、その言葉に客観性はまったくありません。我が子のかわいさもしかり。まあでも、このへんは幸せを味わう生活の知恵としての「○○家判定」なので、むしろ積極的に駆使したほうがいいですね。

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