ライフ

「死生観カフェ」住職談、死の恐怖は未知の世界への不安から

「死生観カフェ」を主宰する大野山福光園寺の副住職・鈴木秀彰さん

 真言宗智山派大野山福光園寺(山梨県笛吹市)の副住職・鈴木秀彰さんは、「死生観カフェ」を主宰する。

「30代の頃、理学療法士の資格を取ってホスピスに勤め、初めて死にゆく人を間近で見ました。ショックでした」(鈴木さん、以下「」内同)

 生きている間は理学療法士として役に立てたが、僧侶として死を間近にした人の支えになれなかったのだという。

「死を断片的にしか知らなかった。一から死と向き合おうと思い、いろいろな人の死生観を知りたくて『死生観カフェ』を開催したのです。参加するのは、下は中学生から高齢者まで。会社員、主婦など、さまざまな年代、肩書の人。

 それぞれの理由で参加されるのですが、共通して多いのは、最近親しい人の死を経験していること。自分の中に今までにない感情が頭をもたげ、それを誰かに話したくて来られるのです。大きなエネルギーを感じます」

 ちなみに最年少の中学生は、ペットが亡くなり、初めて死を体験。心に湧いた思いの正体を探求しに来たという。

「カフェのテーマは死ですが、ゴールを語り合うことで、そこへ至る生き方の話になる。カフェで得たものを各人が持ち帰り、親子や夫婦で語り合ってもらえれば大成功です。実は私も父と話しました。父の最期についても思い切って話し合い、父も意外に率直に考えを聞かせてくれました。話の内容より、父と腹を割って話せたことが嬉しかった。少し自信が持てました」

「私も含めて現代人は、生まれるのも死ぬのも大多数が病院です。日常生活の中に生も死もないので慣れていない。死は衝撃なのです。現代の死への恐れは、未知の世界への不安かもしれません」

 寺には、死への恐怖、また親しい人を失った悲しみを話しに来る人も多いという。

「真言宗では、死は“戻る”こと。懐かしい故郷へ帰るようなイメージでとらえます。死は誰にも平等に必ず訪れ、どんな人生を送った人も最後はひとりで逝くことも平等。悲観することではないが、恐れたり悔やんだり、また親しい人の死が悲しくて仕方ないというのも、その人の人生。身近なご家族は慰めや助言より受け止めることが大切です」

 死生観カフェは山梨と東京のカフェや図書館といった、気軽に寄れる場所で開催されている。

※女性セブン2018年8月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2025年に離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(左/本人インスタグラム、右/時事通信フォト)
《ファミリーカーの運転席で弁当をモグモグ…》2児の母・加藤ローサ、離婚公表後の松井大輔氏との現在 いまも一緒に過ごす元夫の愛車は「高級外車」
NEWSポストセブン
女優の大路恵美さん
《江口洋介さん、福山雅治さん…年上の兄弟から順に配役が決まった》『ひとつ屋根の下』女優・大路恵美さんが“小梅役”に選ばれた決め手を告白
NEWSポストセブン
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《“七三分け”白髪の石橋貴明が動き始めた》鈴木保奈美「私がお仕事をしてこられたのは…」“再ブレイクと闘病中”元夫婦の距離感
NEWSポストセブン
波瑠と高杉真宙の仲睦まじいツーショット
《波瑠がメガネと白セーター姿で高杉真宙にピッタリ寄り添い…》「思い出深い1年でした」新婚ホヤホヤの2人は“お揃いのデニムパンツ”で笑顔の神対応
NEWSポストセブン
2025年8月、群馬県伊勢崎市で国内統計史上最高気温の41.8℃を更新。温度計は42℃を示した(時事通信フォト)
《2026年の気象を予測》2025年以上に暑くなる可能性、夏は“1年の3分の1以上”に…強い夏と冬に押されて春秋が短くなり、季節の“二季化”が進む
女性セブン
『激走戦隊カーレンジャー』でピンクレーサー・八神洋子役を演じ、高い人気を得た来栖あつこさん
《スーパー戦隊50年の歴史に幕》「時代に合ったヒーローがいればいい」来栖あつこが明かすイエローとの永遠の別れ、『激走戦隊カーレンジャー』ピンクレーサー役を熱演
NEWSポストセブン
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
《識者が“皇族の喫煙事情”に言及》「普段の生活でタバコを吸われる場合は…」秋篠宮さまの“車内モクモク”動画に飛び交う疑問
NEWSポストセブン
小室さん眞子さんのNY生活を支える人物が外務大臣表彰
《小室眞子さん“美術の仕事”の夢が再燃》元プリンセスの立場を生かせる部署も…“超ホワイト”なメトロポリタン美術館就職への道
NEWSポストセブン
今年成年式を終えられた悠仁さま(2025年9月、東京・港区。撮影/JMPA) 
《自らモップがけも…》悠仁さまが筑波大バドミントンサークルで「特別扱いされない」実情 「ひっさー」と呼ばれる“フラットな関係”
週刊ポスト
結婚を発表した長澤まさみ(時事通信フォト)
《トップ女優・長澤まさみの結婚相手は斎藤工と旧知の仲で…》インスタ全削除の“意味深タイミング”
NEWSポストセブン
長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン