この時代はJK(女子高生)という言葉もまだありません。1991年まで女子大生ブームの立役者だった番組『オールナイトフジ』が放送されていましたし、世の男性の性対象は女子大生からでした。
また、深夜テレビでは、女性の裸を放送していましたね。『トゥナイト2』(テレビ朝日系)という番組では、性風俗店なども扱い、雑誌よりテレビの方が過激な性表現をしていました。ただ、陰毛は映せなかった。だからこそ陰毛の価値が高まっていたのでしょう。
◆「色」もヒットの要因
日本のお上は、常にわいせつなものを規制しようとします。代表例は1951年から裁判で争われたD.H.ローレンスの『チャタレイ夫人の恋人』。翻訳は人気小説家の伊藤整でした。発禁になった部分を復刻版で読んでみると驚くほど稚拙な訳で、性的なものを感じる人はまずいない。なぜ取り締まったのかがわからないほどです。
国家の強権による過度な性規制は、むしろ憧れと商品価値を生むんです。出版はそんなタブーに挑戦し犯していきます。宗教にまつわるタブーもメディアが暴いていく。ヘア解禁の瞬間もタブー破りの快感が確実にあったのです。
日本では、古来から髪の毛を含め、毛には霊的な力が宿ると考えられています。その神秘性があったからこそ、「ヘアヌード」は人々を熱狂させたのかもしれません。