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2018.08.26 16:00  女性セブン

脚本家・早坂暁さんが遺した1000文字に込めた平和への祈り

 当時、いくつもの仕事を抱えていた早坂さんだったが、ふたつ返事でOK。しかし、いちばん近くで寄り添う妻の由起子さん(58才)には一抹の不安があった。

「早坂は、“遅坂”とあだ名がついたくらい、筆が遅い人なんです」

 遅筆ぶりは俳優たちの間でも有名で、主演した『夢千代日記』に惚れ込み、「この作品は私の宝物」と公言していた吉永小百合や、「私という役者の80%は早坂さんの作品でできている」と言う桃井かおりをはじめ、俳優たちはみな締め切りを過ぎてからファクスで1枚ずつ送られてくる原稿を、スタジオで固唾をのんで待っていたという。

「今回はたくさんの中学生たちが待っているから遅れるわけにはいかない。いつもは本人が手書きで原稿を書くのですが、この時は夫が言うことを私がパソコンに打ち込んで、ふたりで何度も見直し…と二人三脚で仕上げました」(由起子さん)

 夫婦の共同作業によって届けられた言葉に地元は歓喜した。

「一言でもいただけたら嬉しいな、長くても50文字ぐらいだろうなと考えていたんです。ところが届いてみると、1000文字もの壮大なメッセージ。先生はここまで故郷の後輩たちのことを思っていらしたのか、と感銘を受けました」(西山さん)

《僕の名前は、四国遍路をしていたお坊さんに付けて貰いました》

 早坂さんが生まれ育ったのは、四国の寺を回る“八十八か所巡り”の遍路道沿いにある商家。自身も幼少期に母に連れられて“お遍路”をした経験がある。四国を歩き回り、地元の人の温かさに触れた早坂さんは、その経験から助け合うことの大切さと故郷の素晴らしさを知るようになった。

「口癖のように『世界中のどこを探しても故郷の海ほど素敵な場所はない。最後は故郷に戻って暮らそう』と話していました。海に沈む夕陽と、名物の鯛めしや貝が大好きで、何度訪れたかしれません」(由起子さん)

 故郷愛は、手がけた作品にもにじみ出ている。四国の遍路道に立つ商家での出来事を描いた『花へんろ』は自身の体験や両親がモデルになっており、盟友だった故・渥美清さん(享年68)が主演した『田舎刑事』(テレビ朝日系)も松山市が舞台になっている。故郷でロケをする際には実家を楽屋代わりにすることもあり、それゆえ“故郷愛”が俳優にも伝播することがしばしばあった。

「その1人が、渥美清さんです。プライベートの旅行でも桃井かおりさんや他の俳優さんと一緒に訪れていました。渥美さんは北条の海に浮かぶ鹿島を第二の故郷と呼び、俳句に詠むほど愛したそうです」(由起子さん)

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