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鉄道の守護神の最新進化 「全方向踏切警報灯」とは

工場内で全方向踏切警報灯を製造している様子。同社では、年間2800灯を生産。これまでの累計は約3万灯に達する


 それだけでも省エネというメリットはあるが、そのほかにも全方向踏切警報灯を導入するメリットはある。

「6灯の警報灯を設置しなければならない踏切において、2灯で済ませられるようになれば、警報灯を支える踏切警報柱の負荷が少なくなります。負荷が少なくなれば、警報柱の長寿命化につながるのです」と話すのは全方位踏切警報灯を製造している東邦電機工業の牧野純男社長だ。

「車あるんですけど…?」の番組後半でも、神奈川県座間市にある東邦電機工業の踏切工場を訪問。東邦電機工業は、全方位踏切警報灯の国内トップシェアを誇る。番組で”全方向踏切警報灯”の製造現場を見学している様子はオンエアされたが、工場見学のシーンはコンパクトにまとめられていた。

 30分番組という制約上、すべてを紹介できないのは仕方がないことではある。しかし、オンエアされなかった部分には普段は知ることができない、踏切を安全にするための試行錯誤や技術的な話も多くあった。

「弊社が、全方向踏切警報灯をリリースしたのは2004年です。以降、現在も全方向踏切警報灯の改良を続けています。2004年に開発された全方向踏切警報灯は、ひとつの警報灯に4つのLED基盤が入っていました。2009年に新改良した全方向踏切警報灯はLED基盤の配置を工夫し、内蔵されている基盤は3つになりました。LED基盤が4つから3つになることで、踏切警報灯の省エネ化と軽量化が同時に進みました。また、改良を重ねたことで、見やすさも向上。安全性が高まったのです」(同)

 東邦電機工業の飽くなき改良精神は、工場の入り口に設置されている踏切からも読み取れる。

 同社の工場は閑静な住宅街の一画にあるが、その工場入り口には大きな踏切が設置されている。初めて工場を訪れると、この巨大な踏切に度肝を抜かれる。これは、単なるオブジェとして飾られているわけではない。きちんとした意味がある。

「入り口の踏切は、LEDの耐久性能をテストするために設置しています。全方向踏切警報灯は約10万時間の点滅で半減値に達すると言われていますが、警報灯は列車が通過するときにしか点滅しません。だから、10年以上は使用できる計算です。警報灯の寿命のほか、風雨に晒されても正常に作動するかどうかもチェックしています」(同)

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