その一方で、今の文科省が抱えている最大の問題は、根本的な教育改革を実行するだけのビジョンも能力もないことだ。そのため、私はこれまで何度も、今の文科省教育は21世紀の世の中に全く対応できていないと批判してきた。だが、もう私は文科省に教育改革を求めるのはやめようと思う。それは猫に「ワンと鳴け」と言うに等しいからである。
したがって、文科省はかつての社会保険庁のように解体して新たな組織にするしかないだろう。
さもなければ、文科省の中にゼロベースで「アンチ文科省」を作るべきだと思う。GE(ゼネラル・エレクトリック)のジャック・ウェルチがCEO時代に、自社内のすべての事業部に「アンチ事業部」を作ったのと同じ手法である。
ウェルチは、自社の事業が他社に否定された時はつぶれる時だから、GEの事業を否定するとすればGEの人間であってほしいということで、各「アンチ事業部」に自社の既存事業を破壊する新しいビジネスモデルを考えさせたのである。
それと同様に、「アンチ文科省」は既存の教育制度から逸脱して、ユニークな人材、世界で競争できる人材を育成することを目的とした全寮制の新しい学校を創設する。
全寮制にする理由は、親がグローバル化した日本企業に勤めていて世界中を飛び回っている場合、全寮制でないと安心して海外で仕事ができないからだ。