国際情報

中国・大型台風被害で「倒壊家屋9999軒」 ネットざわつく

当局が発表した数字をめぐって騒然

 偶然なのか、何らかの意味を持たせられたものなのか、数字の判断が難しいことはままある。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 重さ10トンの風車も倒す強い台風20号が西日本を縦断し、猛威を振るった。その少し前、中国では台風18号(ルンビア)が山東省に大きな被害をもたらした。台風が去ったあとには、河川の増水などで広範囲に水没した一帯を映した写真や映像がメディアにあふれた。

 被災した人々の状況を伝えるために各地で記者会見が開かれたが、そうした会見場の一つで、記者たちが大いに首をかしげるような話題が持ち上がった。場所は、最大の被災地の一つである山東省濰坊市。会見では、被害状況や救助についての説明が行われたのだが、話題をよんだのは当局が発表した統計だった。

 20万人を超える人々に被害が及ぶなか、〈死亡が確認されたのは13人。現在まで安否の確認ができない失踪者が3人。うち、9人は、自動車を運転しながらの水没であった〉ことが説明された。

 ここまでは普通のことだが、記者たちが騒めいたのは倒壊家屋の数が知らされたときであった。その数が9999軒だったのだ。

 これを伝えた『新京報』(2018年8月24日)のタイトルは、〈水害で倒れた家屋は全部で9999軒 こんな妙なことが起きるものなのか?〉だった。当然のことだが、これに最も強く反応したのはネットだった。

 増え続ける書き込みのなかには、〈『国家自然災害救助応急預案』では、被災し倒れた家屋が10000を超えた場合には、自動的にⅣ級の災害の指定を受けられる。こうなると対応するのは省レベルとなる。そうしないためにギリギリで抑えたのでは?〉といった疑惑に言及する者もあった。

 だが、もし当局がそういう意図をもっていれば、もっと思い切って数を減らす方が自然である。つまり、偶然というべきなのだろうが、現地メディアはどう受け止めてよいのか戸惑うばかりだという。

関連キーワード

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン