芸能

小痴楽、宮治、わん丈「50年後の名人」の三者三様

「50年後の名人」たち

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、注目の二ツ目、柳亭小痴楽、桂宮治、三遊亭わん丈による「50年後の名人会」についてお届けする。

 * * *
 7月27日、深川江戸資料館で柳亭小痴楽、桂宮治、三遊亭わん丈と、僕の好きな二ツ目3人が出る会を観てきた。「50年後の名人会」なるタイトルで、BS12の収録用らしい。

 トップバッターのわん丈は『お見立て』。この噺、杢兵衛お大尽のとんでもない田舎者っぷりの可笑しさで引っ張っていく演者が多いけれども、わん丈はそっちよりも喜瀬川花魁と若い衆の喜助のやり取りをメインに据えている感があり、そこがとても面白く出来ている。

 特筆すべきは喜瀬川花魁の「計算高くてワガママだけど憎めない可愛さのある女」というキャラの魅力。杢兵衛に会いたくないばかりに「恋患いで死んだ」という嘘を喜助に伝授する喜瀬川の独り芝居が実に楽しい。墓参りの件で無駄を省き一気にサゲまで持っていくのもいい。

 続いて登場した小痴楽は『佐々木政談』。お奉行ごっこに興じる四郎吉ら子供たち、通りがかった奉行の佐々木信濃守とその家臣、四郎吉の父綱五郎ら長屋の人々と、それぞれの描き方が実に巧みで、高座の上で彼らが「江戸の暮らし」をしているのが見えてくるようだ。お白洲での堂々とした四郎吉の受け答えは嫌味がなく、それに感心する奉行の様子も、実に気持ちいい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン