キートン:それは新しいものとして考えるしかないよね。幼い頃から聞いていれば、その子はそれがその役の声だと思って育つと思います。新しい声優が無理に物まねで近い声でやるのも違うと思いますから。
――新しい動きとして、最近では、アニメ映画などで、俳優が声優をやるケースが増えています。
キートン:声優としては、くやしいよね。声優はいっぱいいるんだもん。でも俳優さんは個性があって、存在感があるわけです。冷静に考えると、タレントさんや俳優さんが演じると、その人らしさが出てくるよね。声優がやらない芝居をやっているから、どこか認めちゃうね。
――デビューした初期はキャラクターを演じることが多かったキートンさん。ナレーターをやるようになったのはいつですか?
キートン:38才の頃、改名してキートン山田になって初めてのバラエティー番組で、ナレーションのレギュラーになったんです。それが初体験でした。テープオーディションだったのですが、「変な名前のヤツがいる、その声を聞いてみよう」となって、ぼくに決まったそうです(笑い)。
――キャラクターを演じるのとナレーションは違う?
キートン:キャラクターにはキャラクターの面白さもあるんですけど、ナレーションもナレーションの世界があるので、自分らしく極めていこうと思っています。正解はないので、毎回、反省しながらやっています。
本当の自分って、普段は見せないじゃないですか。この世界に入ると、まずは少しでも飾ってうまく見せたい、と考えてしまう。それを38才の頃やめて、田舎で生まれ育った自分を柱にしようと。すると何もできないんです。怖いよ。普通は、なにか演じてないと、演じろよ、もっとちゃんとやれよと言われます。その範囲の中で、なんとか表現しよう、ということを考えてね。確立したのは最近です。
――滑舌を保つためにしていることはありますか?
キートン:どんどん悪くなるので、年を感じるんだけど(苦笑)。口周りの筋肉が大事だから、風呂に入っているときに口の運動を毎日しています。医者から聞いた、口を大きく動かして「あいうベー」って舌を出す運動です。女房のめいっ子に言ったら、「それ、あいうべ体操だね。インフルエンザ予防にいいんだよ」って言われました。ぼくは滑舌のためにやってるんだけど。
のどのためにしていることは、10年前から粉の龍角散を寝る前に飲んでいます。あと運動ですね。59才からマラソンを始めて、フルマラソンにも出場しています。
――2006年時、30才以上年の離れた今の奥さまと再婚。今でもラブラブだとか。
キートン:ぼくが59才のとき、相手は28才でした。年の差に戸惑いはなかったよ。結婚に踏み切った理由のひとつは、お互いに恵まれた家庭に育っていなかったこと。女房は若いのに、おばあちゃんの“下の世話”をしているとかいろいろあってね。ぼくの家庭も複雑で、5才でおばの家に養子に行っていて、貧乏な家庭で育ったんだよね。年齢じゃなくて、生活感が一緒だったということかな。
――キートンさんのお子さんたちより、奥さまの方が年下。