芸能

大坂なおみを勝利に導いた行動から感情に働きかける方法

女子テニス界の”新女王”となった大坂なおみ選手

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人やトピックスをピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、全米オープンテニスで見事優勝を勝ち取った大坂なおみ選手を分析。

 * * *
 見ていて、なんともやりきれない気持ちなった大坂なおみ選手の表彰式。全米オープンテニス女子シングルス優勝という快挙を日本人で初めて成し遂げたというのに、表情は硬く笑顔もない。全米オープンテニスの表彰式を初めてテレビで見たが、舞台中央に立ってポーズをとっていたのは大坂選手ではなく、テニス界の女王と呼ばれるセリーナ・ウィリアムズ選手。その立ち姿を見ていると、女子テニスの主役の座を譲る気は、まだまだないのだろう。

 反対に、大坂選手は、なんとか口元だけは作り笑いを見せていたが、表彰式開始とともに大きくなる観客のブーイングに、サンバイザーのつばを深く下げ、泣き出してしまった。全米テニス協会会長のカトリーナ・アダムズ氏でさえ、最初に誉め讃えたのは、勝者である大坂選手ではなくセリーナ選手。そのコメントに、うつむき暗い表情で涙をぬぐいながら拍手し、優勝インタビューでも涙をぬぐいながら、会場のファンに「みんながセリーナを応援していたことは知っています。こんな結果になってごめんなさい」と謝った。本当なら試合の我慢やプレッシャーから解き放たれ、喜びを爆発させたかっただろう。

 実力で勝利したのに、彼女が素直に喜べない状況を作り出したのは、試合中のセリーナ選手の審判への暴言や抗議。完全に感情のコントロールが利かなくなっていたセリーナ選手は、それだけ追い詰められていたのだが、セリーナ選手が感情的になればなるほど、観客のブーイングもヒートアップ。大坂選手にとっては、どんどんアウェーの状況が強まっていった試合だった。

 それでも、大坂選手は落ち着いたプレーを見せた。彼女自身、試合を振り返り、勝利の要因を「我慢」と答えていたように、多くのメディアが、彼女が我慢できるようになった要因を分析している。中でも、我慢できる=メンタルが強くなった、と分析するメディアが多く、彼女自身も、自らをコントロールできるのだという自信を持ち始めている。

 スポーツにおけるメンタルトレーニングにはいくつかの方法があるが、心と体両方からのアプローチを組み合わせた、感情から行動(心から身体)へ働きかける方法と、行動から感情(身体から心)へ働きかける2つの方法がある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン