当時、夜行列車や寝台列車は格安の夜行バスに需要を奪われて廃止が相次いでいた。しかし、“ななつ星in九州”にはシニア層を中心に利用者が殺到。テレビや新聞、雑誌でも“ななつ星in九州”が取り上げられるようになり、他社も追随。JR東日本は”TRAIN SUITE 四季島”を、JR西日本は”TWILIGHT EXPRESS 瑞風”を登場させた。
しかし、“ななつ星in九州”のDF200形7000番台ディーゼル機関車と77系客車や“TRAIN SUITE 四季島”のE001形、“TWILIGHT EXPRESS 瑞風”の87系といった車両はブルーリボン賞を受賞していない。
「ブルーリボン賞は見た目の華やかさだけに捉われるのではなく、目に見えない技術的な部分も選考基準に含んでいます。また、“ななつ星in九州”や“TRAIN SUITE 四季島”“TWILIGHT EXPRESS 瑞風”のようなクルーズトレインは、乗車料金が高くて簡単には乗車できません。ブルーリボン賞の選考は、誰もが気軽に乗れるという鉄道本来の意義も加味されているのです」(同)
見た目の華やかさに流されない、確かな目による選考は鉄道会社からも絶大な信頼を得ることにつながった。
ブルーリボン賞・ローレル賞が鉄道会社から信頼されていることは、記念プレートの贈呈時にも如実に表れている。
ブルーリボン賞の記念プレートは鉄道友の会が鉄道会社を訪問して手渡しているが、最近では贈呈式に社長や副社長が立ち会うことも珍しくなくなった。
ネットの発達・普及によって鉄道研究会や鉄道サークルの類は退潮傾向にあると言われるが、鉄道友の会をはじめとするリアルな活動は着実に鉄道・事業者・愛好者たちの紐帯として機能している。