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「五箇条の御誓文」 解釈を巡って大きく揺れ続けた歴史

慶應大学教授の片山杜秀氏

 近代国家への道を示した「五箇条の御誓文」。その解釈を巡って日本は大きく揺れ続けてきた。慶應大学教授の片山杜秀氏が解説する。

 * * *
 1868(明治元)年3月15日は、官軍による江戸城総攻の予定日だった。幕府はついに倒れるだろう。ついに王政復古だ。久しく途絶えていた天皇中心の国のかたちが蘇るのだ。しかしその中身は? 将軍が天皇に変わると国はいったいどうなる? 心配する者も多かった。江戸城総攻の前に新政のイメージだけでも天下に明らかにし、人々に良い時代が来ると希望を持たせねばならない。天皇自らの言葉で!

 かくして江戸城総攻予定日の前日の3月14日、明治天皇は京都御所で五つの誓いを立てた。「五箇条の御誓文」と言う。もちろん、天皇は現人神であるから、公家や武家や庶民を相手に誓いはしない。日本の神々、天皇の祖先に対して誓った。

 明治期を代表する憲法学者、穂積八束は、「五箇条の御誓文」を明治憲法に先んじる憲法と呼んだ。「御誓文」は天皇中心の新国家の根本方針を定め、明治憲法の骨にもなっている。「御誓文」こそ大憲法なのである。

◆御誓文の解釈闘争勃発!

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