ビジネス

豊洲新市場開業で周辺の湾岸マンションの資産価値は上がるか

10月11日に開業する豊洲市場(写真:時事通信フォト)

 10月11日に豊洲の新市場が開業することで、周辺エリアがさらなる発展に向けた起爆剤になる──と期待する向きが多い。ならば、湾岸エリアにあるマンションの資産価値も上昇するのだろうか。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が予測する。

 * * *
 豊洲の新市場開業により、江東区湾岸エリアにあるマンションの資産価値に好ましい影響をもたらすのではと考える人はいるだろう。だが、私はまったくそうは思わない。

 そもそも、今や世界的な存在となった築地市場は、魚介類の取引を行うところである。それがここまで観光地化したのは、場内と場外に美味しいお寿司屋さんがあったからに他ならない。もとをただせば、ただの魚介類の取引所なのである。

 今回、その魚介類の取引所が豊洲へと移転する。新しい市場は、現在の築地とは違って恐ろしく不便な場所にある。今の築地市場のように、銀座まで来たから「ちょっと寄るか」という気分で行けるところではない。

 そして、当初の目玉だった千客万来施設も東京五輪の後に着工される予定だという。であれば、そこは単に魚介類の取引所である。そういう場所に、今の築地市場と同じ集客力があるとは思えない。

 したがって、注目が集まるのは移転した当座だけになるのではないか。いくらおいしいお寿司屋さんがあっても、電車や新交通システムを乗り継いでまで食べに行こうという人は、今の数分の一に減るだろう。

 そうでなくても、2年前の大騒ぎはまだ人々の記憶に新しい。振り返ってみれば、小池百合子都知事が自己アピールのためだけに騒ぎを大きくしていたに過ぎなかった。そのことに気付いた都民は、ドッチラケ状態になった。だから今や話題にも上らない。

 しかし「毒に塗れている」というイメージだけは引きずっている。あの騒ぎが、周辺のマンション市場に何か影響を与えたかというと可視的なものは何もなかった。もちろん、中古マンションの価格が下がった、というような現象も一切見られなかった。

 ただ、「豊洲」という街のイメージには好ましくはない影響を残した。あの騒動以前は「住みたい街ランキング」で、端っこの方に出ていた豊洲は、今ではほとんど見られなくなった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン