人気YouTuberは、視聴回数を増やすために同じクラスのYouTuberとコラボ動画を作る。過去、草なぎも人気者とコラボしている。その時に、おこなったのが長年出演していたテレビ朝日の深夜番組『ぷっすま』の企画。「はじめしゃちょー」とは絵のうまさを争う「絵心対決」、「水溜りボンド」とは金属メジャーをどこまで折らずに伸ばせるかに挑戦する「ギリギリマスター」に撮影。『ぷっすま』企画は、当人も勝手が分かっているので進行がスムーズだし、ファン目線からすれば「また見られる!」という喜びもあるのだろう。テレビの企画をまんまパクるYouTuberはいただけないが、草なぎの場合はオフィシャルなので好感が持てる。
テレビで得たスキルを活かすことでいえば、その最たるものが料理。『SMAP×SMAP』の人気コーナー「BISTRO SMAP」で魅せたスキルを披露する。豪華なキッチンスタジオでご馳走を作っていた「BISTRO SMAP」とは異なり、小さなキッチンで草なぎ風家庭料理を紹介。
こういった点からも、民放テレビ番組とYouTubeの毛色の違いが分かる。紛うことなきスーパースターの草なぎではあるが、動画を見ていると身近な存在に感じるから不思議だ。
「HIKAKIN」を筆頭にYouTuberは、タレント性よりも近所の面白い兄貴感が重要だ。草なぎもYouTuber仕様に微調整している。2018年4月、映画『クソ野郎と美しき世界』の公開終了記念に『ユーチューバー 草なぎチャンネル』に稲垣、香取がゲスト出演した。その際、草なぎは「つよぽん喋り方がYouTuberになってるね」と香取につっこまれていたっけ。
スター感を消すYouTuber草なぎではあるが、紹介するものはスーパースター。なかでも時折配信されているジーパンに関する動画はヤバい。
草なぎがジーンズマニアだということはよく知られた話だが、その貴重なコレクションを惜しげもなく披露。ある動画では1944年~1947年にリーバイスが生産していた「大戦モデル」なる幻のジーンズを紹介。「25歳の時に北海道で会ったジーンズマニアの人から100万円で買ったのが最初の『大戦モデル』だったなぁ、けどそれ友達にあげちゃったんだよね」といった常人では考えられない秘話もこぼれ出す。
他の動画では、アメリカの炭鉱から発掘された100年前のカバーオールを公開。素人からすればただのボロ切れ。しかし、草なぎの解説を聞けば、ボロボロのカバーオールがなぜ高いのか理解できる。
コメント欄にいるマニアの方々も「紹介したやつだけで余裕で車買えます」と興奮を隠せない。こんなレアジーンズを見られる動画は世界にも、そうそうないだろう。そして、草なぎの背景を知っているからこそ高級品を紹介されても嫌味がない。
121本全て見たが、YouTuber草なぎの動画はどれも穏やかだ。全てが高品質で落ち着いており、誰も傷つけない。逆説的にいえば、YouTube的な刺激には欠けるともいえる。いまいちバズらない理由はここにあると思う。
しかし、レアジーンズを紹介するお宝紹介動画はファンでなくともグッとくる。いくらで購入したかもわりと言うので、野次馬な角度から見ても面白い。なにより、『アメトーーク!』で「ジーンズ大好き芸人」として出演して欲しいくらいに草なぎの知識量と熱量がパない。ただ残念なことに、お宝紹介の本数は少ない。個人的には、草なぎのジーンズトークをもっと見たいと思っている。