2018~2019年は、1年間に1万5000人近くが退職予定


 ベテランが大量退職する中で、充分な教師の数を保つためには、新たな教員の採用が欠かせない。しかし一方で、「教員の仕事はやりがいはあるが、肉体的にも精神的にも過酷」という認識が広がり、教師を志望する学生は年々、減ってきている。

「公立小学校の教員採用試験の倍率は2000年度に全国平均12.5倍だったのが2017年度には3.5倍まで下がりました。定年退職が増えて若い教師をどんどん採用する必要があるのに、受験者数が減って倍率が下がり、採用試験は“広き門”になりました」(諸富教授)

 特に小学校では倍率低下が目立っている。文部科学省の調査によると2017年度は東京で2.8倍。全国の最低倍率は富山、広島、高知の2.3倍だった。

 採用倍率が低くなることで、多くの識者が懸念するのが「教師の質の低下」だ。

「一般に、倍率が3倍を切ると合格者の質が担保できないといわれます。東京など多くの都道府県では、採用試験を受ければほぼ受かる時代。これからは、優秀な教師を確保するのがますます難しくなる。全国の教育現場が頭を抱えています」(諸富教授)

 教育ジャーナリストの松本肇さんは、教員免許を取れる大学の二極化が教員の質が低下している一因と話す。

「昔は学校の先生といえば、各都道府県に1つある国立大学の卒業者でした。しかし近年、偏差値50前後の大学でも取得できるようになってきています。レベルの高い大学の出身者は高校など教科ごとの専門的な教師を目指すので、偏差値の低い大学の出身者は採用枠の多い小学校教師になりがちです」

 事実、小学校における国立大学の教員養成課程出身教員の割合は、2001年の59.1%から2006年には41.4%に低下した。一方、私立大学を中心とする一般大学出身者の教員比率は、2001年の32.7%から2006年に48.8%まで増加。なかにはエスカレーターで進学し、大学受験を経験していない新人教師も存在する。

◆指導力の低い教師は、子供の学力伸ばせない恐れ

 松本さんは以前の教師志望者では考えられなかった光景も目にするという。

「目上の人に対して敬語を使えない教師が多くなったと感じることがあります。子供は大人同士の会話を聞いて、自然と語彙力を身につけていくもの。日常生活で耳にする言葉が間違ったものであるのは心配です」

 教育雑誌『お・は』の編集人で、小学校を定年退職後、非常勤で教師を続ける岡崎勝さんは、「教師の学力は子供の学力に直結する」と話す。

「スタンフォード大学のハヌシェク教授の研究によると、もともとの学力が同じレベルの子供たちに対し、能力の高い教員が教えた場合、子供たちは1年間で1.5学年分の内容を取得しますが、能力の低い教員が教えた場合、0.5年分しか取得できません。指導力の低い教師は、子供の学力を伸ばせない可能性が高いと言えるのです」

 学力の不安だけではない。子供がたくましく育つ力をサポートするのは教師の「経験値」だが、最近の若い教師はリアルの体験が少ない。

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン