教員採用試験の競争倍率は低下の一途


「ゆとり世代はデジタルは得意ですが、アナログは苦手です。例えば、ホースが丸まったままで勢いよく水を出そうとして、花壇の水やりを失敗してしまったり、朝顔やヘチマの育て方を知らなかったりします。しかもそれを年配の教師に質問しないことも多いです」(岡崎さん)

 諸富教授も若手のコミュニケーション能力不足を嘆く。

「今の若い教師は、日常生活で、スマホに頼り切っているせいか、思っていることをきちんと言葉にして相手に伝えることが苦手なようです。驚くのは、固定電話を使ったことがない人が多いこと。新卒の先生には、まずベテラン教師が“保護者とどうやって電話で会話するか”をレクチャーするんです」

 今年7月、愛知県豊田市の小学校で炎天下の屋外学習後に小1男児が熱中症で死亡した。実習を引率したのは、担任の20代女性教師。

「授業とはいえ炎天下で外に連れ出したのは、学校が指定したカリキュラムを優先し、熱中症の危険まで思いがいたらなかったのでしょう。若い教師を他の教師がもっとサポートすべきだったのです」(岡崎さん)

 不祥事も後を絶たない。今年だけで「ひざの上に座らせた女子児童の腰や下半身を触った」「勤務校の教師用の女性更衣室を盗撮した」「飲酒運転で物損事故を起こした」「スーパーで食品を万引した」「保護者から預かった教材費を横領した」などで小学校・中学校の20代教師が次々と処分されている。せっかく教職に就いたのに離職するケースも多い。

「昔は10倍以上の倍率を超えて苦労して手に入れた教職なので簡単に手放しませんでしたが、今は倍率が低下したせいか、すぐ辞める傾向があります。『同僚や校長とそりが合わない』『通勤に1時間半かかる』といった理由で、さっさと退職するケースが増えています」(岡崎さん)

※女性セブン2018年10月25日号

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