国内

ゆとり教師が激増、敬語不使用・保護者に逆ギレも 倍率は激減

ベテラン教師の一斉退職で学校が危機

 1978年、北海道小樽市出身の新人教師・北野広大(こうだい)が東京の若葉台小学校に赴任した。3年4組の担任となった北野先生は、クラスで巻き起こるさまざまな問題に体当たりで立ち向かい、教頭や保護者から批判されながらも、子供ファーストの熱い姿勢で周囲を「熱中」させていく──。

 1978年10月から1981年3月まで放送されたドラマ『熱中時代』(日本テレビ系)。水谷豊(66才)が演じた北野先生は「理想の教師」として絶大な人気を誇り、最高視聴率は46.7%を記録した。

 実は北野先生と同世代の教員の数は、戦後日本の社会でも突出して多い。その世代が長らく教育の現場を支えてきたと言っていい。

 もしも北野先生が実在したら、つい最近、定年を迎えたはずだ。同様に人気教師だった『3年B組金八先生』(TBS系)で武田鉄矢(69才)が演じた坂本金八も、7年前にドラマ内で惜しまれながら定年退職した。

 現在、ベテラン教師の一斉退職が日本の教育現場を揺るがしている──。

◆2000年度に12.5倍だった採用倍率は3.5倍に

 なぜ北野先生と同世代の教員の数が多いのか。それは、彼が教師になった「1970年代後半」という時代に理由がある。

 1970年代前半、日本には第2次ベビーブームが起こる。1971年から1974年までの出生数は200万人を超え、1973年の約209万2000人がピークだった。直近(2017年)の出生数94万6000人の倍以上の数の子供が生まれた時代だ。

 彼らが小学校に入る頃には、学校を次々に新設しないと生徒が学ぶ教室が足りないという事態になった。必然的に、教師の数も足りなくなる。そこで国を挙げての新人教員の採用が行われ、「北野先生世代」の教員数が膨れあがったというわけだ。

 その世代が、最近になって定年退職を迎えている。2012年からの10年間で全教員数の3分の1にあたる約15万人が姿を消す。最もボリュームのある層が定年になる2018~2019年は、1年間に1万5000人近くが退職する予定だ。

 その結果、全国各地の小中学校で、ゆとり教育を受けて育った世代の若手教師、いわゆる「ゆとり教師」が激増している。

 明治大学文学部教授で「悩める教師を支える会」の会長を務める諸富祥彦(よしひこ)さんが指摘する。

「15年ほど前までの教育現場は50代の教師が中心で最年少が40代という学校もありました。しかし現在はベテランの大量退職で様変わりし、20代の若い教師が大半を占める学校が増えています」

 新人先生の急増に、保護者からは不安の声があがっている。小学5年生の娘を持つ都内在住の主婦・前田美緒さん(仮名・48才)は不満を漏らす。

「娘の担任は25才。娘が『休み時間に先生が教室からいなくなる』と言うので個人面談の時にそれとなく触れたら、『プライバシーですから』との返答で言葉を失いました」

 静岡県に住む小学2年生の息子を持つ加藤みどりさん(仮名・38才)は、とある担任の一言が今でも忘れられないという。

「娘の授業参観でほとんどの児童が新卒の担任の言うことを聞いていなかった。懇談会でそれを伝えると担任は『やることはやっています』と逆ギレしたんです」

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン